ソニーは14日、デジタルビデオカメラ「ハンディカム」シリーズの新製品6機種を発表した。米国では展示会「International CES 2010」会場で発表されていたもので、今回国内での正式発表となった。新モデルでは、搭載されているレンズを広角化し、全ラインナップにExmor Rセンサーを搭載したほか、おまかせ撮影機能の採用、24Mbpsのビットレート対応などといった機能強化がされている。発売は「HDR-CX170」「HDR-XR150」が1月29日で、「HDR-CX550V/370V」「HDR-XR550V/350V」が2月19日。すべてオープンプライス。
新機能としては、一部のモデルについて、搭載されるソニーGレンズのワイド端を、動画撮影時で35mm判換算29.8mmの広角化した。09年モデルの「CX500V」が43mmであり、約2倍の画角を実現したことになる。静止画撮影時はモデルによって異なるが、従来38mmだったのが26.3mmとなった。広角レンズを搭載したのは「CX370V」「XR350V」「CX550V」「XR550V」の4モデル。
レンズの手ブレ補正機能も進化。ワイド端の手ブレ補正を強化した「アクティブモード」がズーム領域でも利用できるようになり、テレ端でも従来比2倍の手ブレ補正効果を実現した。
さらに、全モデルの撮像素子を裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」に変更。同センサーは、従来比で2倍の感度を実現。暗所でのAF速度を改善し、高速にピント合わせが可能になっている。
オート撮影機能も強化されており、「おまかせオート」機能を搭載。顔判別・シーン認識・手ブレの有無・屋内/屋外という4要素を組み合わせ、その中から最適な撮影設定で撮影してくれる。「iAUTO」ボタンで設定のオン・オフが可能で、カメラを向けるだけでその時に応じて自動で設定が変更される。
また、記録モードのビットレートは従来16Mbpsが最高だったが、新たに24Mbpsを追加。16Mbpsモードも17Mbpsに強化されており、より高画質の映像を記録できるようになっている。
新機能としては「ゴルフショット」機能も搭載。これはゴルフのスイング後に動画撮影ボタンを押すと、クラブがボールに当たったヒット音を、カメラが自動で認識して、スイングの状況をさかのぼって動画・静止画で記録するという機能。1コマずつの動画で記録されるので、スイングをじっくり確認したいときに最適。サッカーや野球、テニスといったスポーツでも利用できるそうだ。
GPS内蔵カメラでは、従来は約40秒かかっていたGPS測位時間を、約5秒にまで短縮。これは、GPSの軌道情報をGPSアシストデータとしてPCにダウンロードし、それをカメラに転送することで測位時間を短くしたという。
そのほか、対応メモリーカードとして、従来のメモリースティックDuoに加え、SD/SDHCカードにも対応している。
最上位機種の「HDR-CX550V」「HDR-XR550V」は、それぞれ64GBのメモリ、240GBのHDDを搭載し、上記の新機能はすべて備えた高機能モデルだ。1/2.88型Exmor R CMOSセンサー、広角対応の光学10倍ズームGレンズを搭載。虹彩絞りも採用する。センサーの総画素数は663万画素、有効画素数は415万画素(信号処理を45度の斜めに回転配列したことで2倍の830万画素記録対応)。静止画は最大1,200万画素相当の記録に対応。動画と同時記録では830万画素相当で記録できる。
最上位機種として3.5インチエクストラファイン液晶(92万ドット)を搭載。デジタルフォトフレーム「S-Frame」にも搭載された「TruBlack」技術を採用し、高コントラストで黒の再現性に優れ、写り込みも最小化。従来機に比べコントラスト比は1.5倍の800:1、明度は13%向上の450cd/平方mとなっており、視野角も170度を実現している。
レンズ脇にカメラコントロールダイヤルを搭載し、MFや明るさ調整、AEシフト、ホワイトバランスシフトを割り当て、ダイヤルによる素早い設定が可能になっている。さらにアイリス優先、シャッタースピード優先のマニュアル機能を搭載した。そのほかGPS、5.1chサラウンド記録などを搭載。発売は2月19日で、実売想定価格はCX550Vが13万円前後、XR550Vが15万円前後となっている。カラーは、両製品ともブラックのみ。
「HDR-CX370V」は、新機能をすべて備えながら、従来のCX500Vと比べても、本体サイズ65(H)×62(W)×133(D)mm、約450gから64(H)×52(W)×125(D)mm、約370gとコンパクト化を実現。本体色にシルバーに加えてボルドーブラウンが追加されている。
センサーは1/4型Exmor Rで、総画素数は420万画素、有効画素数は265万画素(同530万画素)。静止画は710万画素、同時記録は530万画素記録に対応する。レンズは広角対応の光学12倍ズームGレンズ。液晶は2.7インチクリアフォト液晶で、視野角を2倍に、画素数を23万ドットにそれぞれ向上させた。内蔵メモリは64GB。
同機能で160GBのHDDを採用した「HDR-XR350V」も用意。こちらはシルバーのみ。発売は2月19日で、実売想定価格はCX370Vが11万円前後、XR350Vが12万円前後となっている。
スタンダードモデルの「HDR-CX170」(メモリ32GB)、「HDR-XR150」(HDD 120GB)は、Exmor RとAFの改善、24Mbps、おまかせオートを搭載。手ブレ補正は電子式だが、アクティブモードによる高い手ブレ補正機能は実現する。
センサーは1/4型Exmor Rで、総画素数は420万画素、有効画素数は135万画素(同270万画素)。静止画は310万画素相当、同時記録は270万画素で記録できる。レンズは光学25倍ズーム カール ツァイス バリオテッサーレンズで、2.7インチクリアフォト液晶を搭載する。カラーは、HDR-CX170が、ブラック・シルバー・レッド・ブルー。HDR-XR150はブラックのみ。発売は1月29日で、実売想定価格はCX170が6万5,000円前後、XR150が8万円前後。
また、ハイエンドに位置づけられるハンディカムの新製品も登場。今回、初めてAVCHDでの記録に対応した「HDR-AX2000」が発売される。従来のHDV形式のカメラFX1000も併売されるが、1920×1080のフルHDで撮影でき、メモリカード対応なのでランダムアクセスも容易だ。
AX2000の新機能では、ダブルスロットを採用したことで、2つのスロットでメディアを入れ替えるリレー記録によって最大13時間での連続記録が可能。ビットレートでは24Mbpsの高画質記録にも対応した。従来通り、Gレンズ、3つのExmorセンサー、エンハンスドイメージングプロセッサーを採用して高画質を追求している。
レンズは29.5mmの広角対応の光学20倍ズームで、新たに歩き撮りにも効果を発揮するアクティブ手ブレ補正を採用。センサーは1/3型Exmor×3で、総画素数は112万画素×3、有効画素数は104万画素×3。音声用のXLRタイプ端子×2を新たに搭載。液晶は3.2インチ92.1万ドットのエクストラファイン液晶で、タッチパネル操作に対応する。ファインダーは0.45インチ122.7万ドット相当のエクストラファインカラービューファインダーだ。
メモリカードはメモリースティックDuo/SD/SDHCカード×2。発売は29日で、実売想定価格は40万円前後。