日銀が14日発表した2009年の国内企業物価指数(速報、05年平均=100)は、前年比で5.3%下落し、103.0だった。下落は6年ぶりで、比較可能な1961年以来最大の下落幅となった。
企業物価指数は、企業間で取引される財の物価の変動を示すもので、景気動向や金融政策の判断材料を提供する目的がある。国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数から構成されている。国内市場向け国内生産品を対象にした「国内企業物価指数」は原油価格高騰の影響などで08年に4.6%の大幅上昇となったが、09年はこの上昇分を超える下落幅となり、プラザ合意後の急激な円高や原油価格低下の影響でマイナス4.7%となった86年を抜いて過去最大の下落率となった。
品目別では、08年の原油価格高騰の反動があった「石油・石炭製品」の下落率がもっとも大きくマイナス33.9%。ほかでは「非鉄金属」がマイナス22.4%、「化学製品」がマイナス9.3%、「鉄鋼」がマイナス8.8%などとなっている。上昇幅が大きかったのは「窯業・土石製品」の3.7%、「輸送用機器」の3.1%、「パルプ・紙・同製品」の2.3%など。なお、輸出物価指数(円ベース)は88.6で前年比10.5%減、輸入物価指数は100.0で同25.0%減、契約通貨ベースでは輸出物価指数が98.3で同3.2%減、輸入物価指数が113.2で同18.7%減だった。
同時に発表された09年12月の国内企業物価指数は102.2。前年同月比では3.9%の下落となるが、前月比では0.1%上昇。前年同月比の下落幅も7、8月のマイナス8.5%から縮小が続いている。下落幅がもっとも大きかったのは「鉄鋼」でマイナス19.2%。08年の原油価格高騰の反動で全体の指数を押し下げていた「石油・石炭製品」は前月の13.5%下落から0.5%の上昇に転じている。輸出物価指数は87.0で前年同月比(円ベース)プラス0.1%、輸入物価指数は103.4でプラス3.6%。契約通貨ベースでは輸出物価指数がプラス0.3%、輸入物価指数がプラス5.6%だった。
日本銀行調査統計局の担当者は「09年は過去最大の下落になったが、現在はリーマンショック後に物価が下落した時期との比較となることもあり、(前年同月比の)下落幅は縮小傾向にある。前月比ではすでにプラスとなっており、トータル的には先に向け少しずつ(指数は)上がる傾向にあるのでは」と話している。