CES 2010の開催前日の夜には、米Microsoftが恒例で基調講演を行うことになっている。今年は、同社CEOのスティーブ・バルマー氏が基調講演を行った。テーマは大きく3つ。「SCREENS EVERYWHERE(すべてのスクリーン)」、「クラウド」、「ナチュラルユーザーインタフェース」である。
同氏は、まず、昨年2009年の実績を振り返る。Windows 7の販売開始や検索サービスBingの開始など、いくつかの話題があった。Windows 7については、これまでになく、販売数を伸ばし、PCの販売は現在の集計では2%の減少を示しているが、ガートナー社の最終集計では、3%上昇すると予測されていると指摘した。
SCREEN EVERYWHERE戦略
そして、同氏は、さまざまな「スクリーン」、PCや携帯電話、テレビなどの「画面」について語る。Microsoftは、PC以外にも携帯電話やIPTVサービス用のセットトップボックス、ゲーム機であるXbox 360など様々なプラットフォーム用にソフトウェアを提供している。しかし、同じ会社の製品でありながら、これまでは、こうしたプラットフォームや製品間の連携が取れていなかった。昨年あたりから、Microsoftは「3 Screen」いう呼び方で、PC、TV、携帯電話で共通のコンテンツやサービス、アプリケーションを利用できるようにするといった方向性を打ち出していた。今回の基調講演でもその方向性が「Screens Everywhere」として言及された。ただし、今回は、自動車メーカーKIA Motorsとの提携による自動車の「スクリーン」なども含むものだった。KIA Motorsは、Windows Embedded Autoを使い、音声認識などが可能なシステム「UVO」を2011年発売の「Kia Sorento CUV」に搭載する予定だ。
クラウドなど、インターネット側のサービスが充実し、さまざまなことが可能になった現在、データやアプリケーションを特定のプラットフォームにだけ縛り付けることはかえって不利になる。Microsoftは、さまざまな「スクリーン」で利用可能な「サービス」として機能を提供していく考えなのだ。そのMicrosoftが考えるスクリーンは、PC、TV、携帯電話だけでなく、自動車やXbox 360なども含まれている。
そのスクリーンのうちTVに関しては、Microsoftは、IPTV(インターネットなどのネットワークを使ったTV番組配信)用にMediaRoomというソフトウェアを提供している。これは、セットトップボックスなどに内蔵される組み込み型のソフトウェアまたはXbox 360用として提供されていたが、今回そのVer.2.0を発表した。今回のバージョンでは、配信先としてWindows 7のWindows Media Centerにも対応し、将来的には、WindowsやMacintoshのWebブラウザにも対応する予定だという。これは、Sliverlightを使って行われる予定だ。ただし、MediaRoomを採用するのは、番組配信を行う事業者(ケーブルTV事業者など)であり、実際のサービスは、事業者によって違ってくる。
バルマー氏は、Slate PCとして、年内に登場予定のHP社の試作機を紹介。10インチクラスの液晶を持ついわゆるピュアタブレット。Windows 7が動作するとのことだが、デモでは、Amazon.comのKindle for PCソフトウェアを紹介 |
そして、バルマー氏は、新しいPCの形として「Slate PC」を紹介した。紹介したのは、台湾のPegatron社、フランスのArchos社、そしてHP社の3つの製品だ。Slate PCは、かつてピュアタブレットと呼ばれていたカテゴリの製品で、筐体が板状で全面に液晶を持つものだ。Microsoftによれば、複数のOEMパートナーが今年中にSlate PCを投入する予定だという。