「イブニング」(講談社刊)にて連載中の、久保保久氏が描く『よんでますよ、アザゼルさん。』が、2010年2月23日に発売される最新コミックス第4巻の特別限定BOX(価格 / 2,980円)にて、OAD(オリジナルアニメーションDVD)となって登場する。

原画 / 谷口淳一郎
仕上げ / 佐藤まゆみ

映像化不可能といわれた問題作がついにアニメ化ということで、そのリリースを待ち望んでいるファンも多いだろう。そこで今回は、OADのアフレコ終了後に、アザゼル役の小野坂昌也、佐隈りん子役の佐藤利奈、芥辺役の浪川大輔、そしてモロク役の玄田哲章、さらに水島努監督が語った作品の観どころなどを紹介しよう。


水島監督、そしてキャスト陣が語る『よんでますよ、アザゼルさん。』

――最初に台本を読んだときの率直な感想をお願いします

(写真左から)玄田哲章、小野坂昌也、佐藤利奈、浪川大輔

浪川大輔「まず原作を先に読ませてもらったのですが、衝撃的な内容で、でも本当に面白かったです。それで、台本はどうなるのかなと思っていたら、本当に原作そのままだったので、とてもやりがいがあって、収録が楽しみになりました。誰が誰を演じるのかがまったくわからなかったので、そういう意味でもわくわくしながら収録に臨みました」

佐藤利奈「私も原作を事前に読ませていただいたので、台本を読んだとき、『まったくカットせずにそのままの表現でいくんだ。チャレンジするんだな』とびっくりしました。私も浪川さんと同様に、ほかのキャストさんがわからなかったので、今朝現場に来て小野坂さんを見て、『あ、アザゼルさんがいた』って思いました(笑)。いろいろな意味でドキドキする収録でした」

小野坂昌也「久しぶりのギャグマンガだったのですが、僕はギャグマンガが大好きなので、最高に燃えましたね。オーディンションのときからすごく燃えていました。台本をもらったときに、キャストのところに何も書かれておらず、キャスト表ももらえなかったので、すごくドキドキしていたんですよ。セリフともども、とてもやりがいのある作品で、二枚目から三枚目までを全部やれるという、幸せな、僕の大好きな感じの役なので、とても楽しかったです」

玄田哲章「台本を見てもよくわからなくて(笑)。でも実際にやってみると、これは何本かやるとすごく快感になるような感じなんだよね。だから、一本だけだとちょっと消化不良なところが残っているので、ぜひいろいろなかたちで実現させてもらって、何本もやりたいですね」

――アザゼルとモロクは、魔界バージョンと召喚されたバージョンの2パターンが登場しますが、それぞれを演じてみた感想はいかがですか?

小野坂「予想どおりな感じで、全然ブレもないです。もっと崩すところは崩して、男前のところは男前で、というダメ出しが来るんだろうなと思っていたのですが、何も言われなかったですね。ただ、二枚目のところで何も言われないのは、"どうでもいいから"みたいな感じだったのが、悲しいやらうれしいやらです(笑)」

玄田「モロクは魔界のときは本当に化け物だよね。牛というよりも悪魔王みたいな、すごく恐いし、ドロドロした感じなんだけど、召喚された後は、とにかくかわいい(笑)。アザゼルは、うちのシーズーかなって思うぐらい、似ていてかわいいんだよね。この対照的な感じがうまく出ていればいいなと思っています。楽しみにしてください」

――アフレコを終えてみての感想はいかがですか?

玄田「実際にやってみて笑いましたね。やはりこれだけの実力者たちが揃うと、やっぱり笑えるんだなと思いました。ただ笑わそうというのではなく、浪川君がさらっとやっているのもいいし、そういった意味でのバランスがよくできているなと思いました」

佐藤「佐隈は、ボヤっとした、垢抜けない女の子なので、その感じを大事にして演じようと思っていました。不幸体質といいますか、いじられて輝ける人になればいいなと思いながらも演じました。収録前に練習しているときは、どこに笑いを持っていけばいいのかが難しく、台本とにらめっこしていました。でも現場で他のキャストさんや皆さんに会えてからは、あまり深く考えずに、楽しみながら演じることができました。実際に動いている絵をみたら、アザゼルさんとモロクさんがすごくかわいくて、ときめきました(笑)」
玄田「牛もかわいかったよ」
佐藤「本当ですか?(笑) 私も牛になっているので、そこもご期待ください」

浪川「絵がついて、色がついて、動いているものを観ると、原作を読んでいるときには気付かなかったような細かい部分まで、本当にしっかりと描かれていました。今回芥辺は傍観者という感じだったので、客観的に観ることができたのですが、全体を後ろから見ていて、本当に皆さんがすばらしく、とても面白いものができたなって思いました」

――それでは監督にお伺いしますが、最初に原作を読んだときの感想をお願いします

水島努監督「マンガを読んだときに、アニメ化できそうだったり、アニメにしてみたいと思ったりする作品だった場合は、お金を持っている人に、こそっと聞いてみたりするんですよ。『これいいですけど』みたいな感じで(笑)。ただ、『アザゼル』は、以前から読んでいて、大好きな作品だったんですけど、誰にも話していないんですよ。たぶん無理だろうと思ってあきらめていたんですね。そうしたらいきなり、『アザゼルさんって知っていますか?』って話が来て……。知っていますどころのさわぎじゃないですよ、みたいな感じで。ただし、やるからには忠実にやらせていただきますよ、絶対に止めちゃダメだよ、と伝えて、今回は完全再現になっています」

――原作を忠実に再現する中で苦労した点はありますか?

水島監督「楽しかった思い出しかないですね」

――それでは、今回のアニメ化でこだわった点はありますか?

水島監督「モザイクでけっこう隠れる部分があるのですが、ちゃんと描いていますので、目を細めて観ていただければ(笑)。これはわざとモザイクで見えなくしているのではなく、モザイクがネタになる、いわゆるモザイクギャグです」

――最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします

水島監督「ちゃんとアニメ化できるのかどうか、原作ファンは一番心配していると思うのですが、本当に心配無用です。OADの先にはNHKでの放送を狙っているんですけどね(笑)」
一同「無理です(笑)」
水島監督「子ども向けのかわいいアニメということで(笑)。原作に忠実で、ファンを裏切らない作品になっていますので、楽しみにしていてください」

玄田「アザゼルさんの原作を読んでいる人はたくさんいると思いますが、その期待を裏切らない作品になっています。ぜひ楽しみに観てください」

小野坂「昨日の時点で、全然キャストがわからなかったので、ネットで調べてみたんですよ。『よんでますよ、アザゼルさん アニメ』って(笑)。すると、アニメ化されるらしいという書き込みがあったのですが、それに対して、『できるわけないだろう』『どう表現するんだ』『アニメ化したら面白いところを全部カットするつもりだろうけど、それだと全然おもしろくない』、みたいな書き込みばかりだったんですよ。でも、本当に全部、原作どおりに描かれていたので、テレビ放送はまったく考えてないのかなって思いました(笑)」
水島監督「考えてますよ!」
玄田「大丈夫、大丈夫」
小野坂「大丈夫なんですか? でも昨今、ギャグマンガはなかなかアニメ化されづらいのですが、すごく楽しみな作品なので、ずっと続いてほしいなと思っています。ギャグマンガが大好きな人は絶対に観てください。よろしくお願いします」

佐藤「現場でもクスクスと笑いながら、ずっと原作を読んでいたのですが、本当に会話が面白くて、これを完全にアニメーションにするなんて、監督は本当にすごいなって思いました。でも、まだまだ観たいシーンがたくさんありますし、出てきていないキャラクターもいっぱいいるんですよ。皆さんが応援してくだされば、TVアニメーションとして、もしかしたら……、なーんて(笑)」
水島監督「なーんて、じゃなくて。大丈夫ですよ」
佐藤「ぜひシリーズでやりたいですね」
玄田「大丈夫だと思うなあ」
浪川「そんな、大御所が(笑)」
小野坂「どれだけ力が入っているんですか(笑)」
佐藤「今回の作品は短いので、30分のものが観てみたいです。ぜひ応援してください」

浪川「皆さんがおっしゃるとおり、本当にすばらしい作品になっていると思います。たとえTVシリーズが今の段階では難しいとしても、劇場版ならいけるんじゃないかなと(笑)」
水島「そうですね、いけますね」
浪川「1時間30分ぐらいのね(笑)。今日初めて皆さんとお会いして、スタッフも含めて、大の大人がみんな本気だということを感じました。講談社もプロダクションI.Gも、ここまで力を入れるかっていうぐらい気合が入っているので、そのあたりは本当に期待していただければいいなと思います。よろしくお願いします」

――ありがとうございました


アザゼル (cv. 小野坂昌也)

佐隈りん子 (cv. 佐藤利奈)

芥辺 (cv. 浪川大輔)

モロク (cv. 玄田哲章)


OADが同梱される『よんでますよ。アザゼルさん。』第4巻 特別限定BOX「牛箱(オックスボックス)」は、2010年2月23日の発売予定で、価格は2,980円。なお、通常版も同じく2月23日の発売予定で、価格は570円となる。

商品名 「よんでますよ、アザゼルさん。」
第4巻 特別限定BOX「牛箱(オックスボックス)」
発売予定日 2010年2月23日
価格 2,980円
発売元/販売元 講談社
※数に限りがございますのでお早めにお求めください。
※品切れの際はご容赦ください。
(C)久保保久/講談社