財務省は12日、11月の国際収支状況(速報)を発表した。貿易収支/サービス収支/所得収支/経常移転収支の4項目から構成される「経常収支」は1兆1,030億円の黒字だった。黒字は10カ月連続。前年同月比では4,794億円(+76.9%)の大幅増となり、4カ月連続で前年同月を上回っている。
所得収支の黒字幅は縮小したものの、貿易収支が黒字に転じたこと等から、経常収支の黒字幅は拡大した。
貿易収支は4,906億円の黒字。輸出額、輸入額ともに前年同月比で縮小しているが、輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったことから、黒字幅は、対前年同月比で5,815億円増(赤字から黒字に転化)となった。輸出は4兆7,044億円で、対前年同月比3,536億円(7.0%)の減少。一方、輸入は4兆2,138億円で、対前年同月比9,364億円(18.2%)の減少。輸出の前年同月比での縮小は14カ月連続、輸入の縮小は13カ月連続。ただ、10月の対前年比の減少率と比較すると、輸出は24.6%→7%、輸入が37.7%→18.2%と「(減少傾向は)鈍化してきている」(財務省国際局の担当者)。
サービス収支は512億円の赤字。「旅行収支」や「輸送収支」の赤字幅は縮小したものの、金融、特許等使用料などが含まれる「その他サービス」の黒字幅が縮小したことから、対前年比で13億円のマイナスとなり、赤字幅が拡大した。所得収支は前年同月比で1,125億円(13.3%)減の7,328億円の黒字。「直接投資収益」および「その他投資収益」において受取の減少額が支払いの減少額を上回ったことなどから黒字幅が縮小した。
財務省国際局の担当者は「輸出、輸入ともに(対前年比の)減少は鈍化してきており、特にアジア向けの輸出では、11月は減少から増加に転じている。全体として(貿易は)ネガティブからポジティブな傾向になってきたのでは」と話している。