黒字化担当以外にも新たな助っ人が……?

ライブに熱く身を乗り出したり、法話にうなずいたり。そんな感じの『ニコニコ大会議 2009~2010 ニコニコ動画(9) 全国ツアー in 大阪』。2010年最初のツアー地である大阪・心斎橋のCLUB QUATTRO。およそ500名の関西地域ユーザーが集まった。

大阪には社長も駆けつけた。写真左から、夏野剛氏、小林宏氏、西村博之氏

新年最初のツアー地とあって、袴姿で登場した西村博之(ひろゆき)氏と前回(福岡)欠席の夏野剛氏。大きな盛り上がりで迎えられる中、笑いに厳しそうな大阪のユーザーを前に引き気味のひろゆき氏をフォローするかのように登場したのが、ドワンゴ代表取締役社長の小林宏氏だ。過去の大会議で見せた、ニコニコ動画の経営状況を脂汗を浮かべながら報告する姿とは打って変わり、流れで司会もこなせば、吉本タレント・島木譲二のパチパチパンチを披露するほどのノリっぷり。尼崎市(兵庫県)出身とあって、ひろゆき氏からのムチャ振りに応える頼もしさを見せつけた。

ムチャぶりにも応える小林社長

恒例の区域別ユーザー数。大阪は登録者数もプレミアム率も高い

意外な登場人物は小林氏だけではなかった。「ひろゆきが見つめる先には新たに加わる大物の影……」との紹介ビデオに登場した人物は、片岡義朗氏。一瞬とまどい気味の会場も、漫画原作のミュージカルとして大成功を収めたミュージカル版「テニスの王子様」のプロデューサーを務めた御仁と知るや大歓声に。ひろゆき氏曰く「コンテンツを作る人」。過去にも錚々たる作品を手がけてきた片岡氏が、なんと"ニコ動ミュージカル"を手がけるという。ネットインフラを使うことで、全世界を相手に演劇の歴史を変えるものになると意気込む。ステージにも登場した片岡氏は、「新しいものを作りたいと思っている。自分でもワクワクしている」とニコ動ミュージカルへの期待感を語った。

ニコ動の新メンバー・片岡義朗氏。漫画「HUNTER×HUNTER」の舞台化なども成功させ、新たなミュージカルの世界を切り開いた

ニコニコ動画黒字化担当の夏野氏は「(ミュージカルが)黒字化への障害になりつつある」と冗談めかすが、同社はこれまでもチャンネル生放送やユーザー生放送などメディア表現の幅を広げ、定着させてきた。新たな仕掛けとなるニコ動版ミュージカルも非常に楽しみなところだろう。公開時期は2010年中を予定(※)。「当然、俳優の選考にもニコニコ動画ならではの方法をとるはず」(関係者)。

※記事初出時は「未定」としておりましたが修正しました。

歌あり! 踊りあり! 法話あり!

ニコニコ動画の展開や新機能(後述)の説明が終わると、お笑い芸人・ビタミンSのコントに始まり、ユーザーゲストたちによる空気の入れ替わりの激しいライブが始まった。熱唱、法話、熱唱、アンコール熱唱である。

緊張していたという軟鉄兄弟。ライブパフォーマンスでは拳を突き上げて歌い倒した

人気の歌い手、やまだんと湯毛による軟鉄兄弟。この日、(盲腸で欠席のメガネに代わり)大阪イベントの前説も任されたうえに、ひろゆき氏から漫談を求められるシーンもあったが、なんとか無事にGRANRODEOの『Once&Forever』を歌い切って会場を多いに盛り上げた。そこに続いて登場したのが、"リア住"の蝉丸P。某寺院のリアルな住職として、仏具を使った演奏動画などを投稿しているユーザーだ。これまでの熱い空気に対抗せんと金髪をかぶって登場した蝉丸Pに、ひろゆき氏からは「そこまでやるとコスプレしてるおっさんみたい」。そして仏具で演奏を始めるのかと思いきや、舞台に座を設けて"生法話"を披露した。

仕込みに定評のあるという蝉丸P(の金髪姿)。飄々とした語りの中に、思わぬ気づきをもたらす話も。昔はクリスチャンの学校に通っていた僧職系男子

蝉丸Pが説くのは、"和顔愛語"の心。ニコニコ動画を見るとき、作品の出来についつい冷笑を浴びせていないか? ネガティブなコメントをつけていないか? 相手を見下す笑いは、その人をアラ探しに向かわせて物事を素直に受け取る心を奪い、自らの道を閉ざすことになる。蝉丸Pは、聞き入る会場に向かって「心に付く癖がおそろしい」と語り、動画を見るときでも普段の生活でも"和顔愛語=ニコニコ&リスペクト(敬愛)"の心を持つことが大事とした。それで「モノの見方が変わってくる」(蝉丸P)。ニコニコ動画を見る者の心構えとも言える話だった。

「関西人なので関西の人たちに囲まれてうれしい」と転少女(ころすけ)。この日は、蝉丸Pとライブ共演。蝉丸Pの仏具チューニングを待って熱唱した

そして法話に続いてまたライブ。「歌ってみた」の人気歌い手・転少女(ころすけ)と蝉丸Pが『メグメグ☆ファイアーエンドレスナイト』(samfree)で共演した。躍動する転少女と木魚を叩く蝉丸Pのふたりだったステージには、女性二人組の踊り手・ケミーキラーが異彩を放つ動きで徐々に侵入。フリーダムな勢いのまま、アンコールでは軟鉄兄弟らも再び登場。全員で『SKILL』(JAM Project)を大熱唱して幕を閉じた。

後方に踊り手ユニット・ケミーキラーのふたり。写真はたまたま普通の動きを見せていたところ

大阪イベントで発表された機能

大阪イベントで追加されたニコニコ動画(9)の新機能は、おもに「ニコニコ市場」と「ニコニ広告」に関するもの。

ニコニコ市場では、商品カテゴリを11種類に分類して商品を探しやすくしたほか、トップページや各カテゴリページに商品を貼ることが可能に。動画への貼り付け回数によるポイント付与とランキングを設置、もっとも多く貼ったユーザーは宣伝部長として、市場上で「○○さん『わしが育てた』」というようにニックネームが表示されるとのこと。1月11日11時からリニューアルされる。また、ニコニ広告関連では、UIデザインを改良。広告の表示回数などの結果を確認できる専用ページも設けた。

なお、大阪イベントでは、本ツアーの東京開催も発表された。詳細についてはこちらを参照してほしい。