映画『真幸くあらば』が9日、東京・新宿バルト9で公開初日を迎え、主演の尾野真千子、久保田将至、音楽監督を務めた森山直太朗らが舞台挨拶を行った。

左から奥山和由プロデューサー、ミッキー・カーチス、久保田将至、尾野真千子、森山直太朗、御徒町凧(監督)、高山由起子(脚本)

本作は、遊ぶ金ほしさに空き巣に入った家で、居合わせたカップルを殺害し死刑囚となった青年・淳と、殺された男性の婚約者だった女・薫の禁断の恋の物語。薫は婚約者を殺した憎むべき相手であると共に、婚約者の不実を暴き、裁いた男でもある淳に惹かれ、淳もまた薫に惹かれていく。肌と肌の接触が絶望的に断たれた状況の中、求め合う二人の「究極の純愛」を描いている。森山直太朗が、本作の音楽を担当し、テーマ曲『真幸くあらば』とエンディング曲『僕らは死んでゆくのだけれど』を手がけた。

奥山プロデューサーは「映画という自由表現の中で、合法的な麻薬という感じのものを目指しました」と話し、「茂木健一郎さんには『脳内純愛』と言っていただきました。脳の細胞がセクシャルなことで活性化すると、身体全体の細胞が活性化します。(この映画は)身体にいい麻薬です(笑)」と、本気と冗談の入り混じったコメントで本作を紹介。さらに、「この麻薬が身体に合わない人は、森山直太朗さんの解毒作用たっぷりの優しい音楽で気持ちよくなって、合法的麻薬体験を楽しんでください」と訴え、会場の笑いを誘った。

奥山プロデューサーは観客に向け、「麻薬なので常習性があります。何度でも見てください」と、本作が「合法麻薬」であることを強調

森山は本作について、最初に見たとき「正直、歪んでいるなと思った」と、感想を述べた

薫役を演じた尾野は「自分にとっては究極の愛を演じたつもりです。それを少しでもいいから感じてほしい。2~3回見に来てください」と本作をアピール。また、森山は「えーと……そうですね、あのー、本当にね、あれ、なんだったかな」と発言しようとした内容を忘れる"天然ぶり"を披露。しかしその後は「音はなくていいんじゃないかな、と思ってたくらい映像から伝わってくるものがバシバシあった。その中で、できるだけ耳を澄ませて聞こえてくる音を音符として音楽にのせてみました」と、音楽監督らしくこだわりについて語った。さらに「みんなの五感を刺激すると思うので、とにかく見て感じていただければ」と、観客に向けてメッセージを述べた後、「けっこう今、良い事言えたね(笑)」と満足げな表情を見せた。

婚約者を殺された女・薫を演じた尾野真千子。舞台挨拶では、ホルターネックのセクシーな衣装で登場

死刑囚・淳を演じた久保田将至。「映画でしか描けない、究極の恋愛映画になっています」と見どころをPR

(c)2009 「真幸くあらば」製作委員会