新年、気がついたら……、やはり、食べ過ぎていた。毎年繰り返してしまうその悩みを、今年こそなんとかしたいもの。実は、正月太りを解消する食べ方があるという。管理栄養士の大柳珠美氏に聞いた。
1.エネルギーではなく、糖質を減らす
体脂肪を効率的に燃焼するためには、摂取エネルギーではなく、糖質を減らす。これは最近の研究によっても明らかになっている(※)。糖質を摂ると必ず血糖値が上がり、血糖が優先的にエネルギーとして利用されるため、たまった脂肪の燃焼はなかなか進まない。ざるそばやおにぎりなど、軽めのメニューでエネルギーを抑えているつもりでも、それらには糖質が多く含まれているため、サイズダウンには結びつかないわけだ。
※2008年 ニューイングランド・ジャーナル掲載のイスラエルの研究報告 「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-C(いわゆる善玉コレステロール)を増加させた」
2.糖質たっぷりの主食を抜く
食事の糖質量を効率的に減らすためには、ごはん、パン、麺類、シリアルなどの主食を抜くのが手っ取り早い。その上で、おかずの糖質にも気をつけよう。餃子の皮、とんかつや天ぷらの衣などに使われる小麦粉、サラダに入っているポテト、つけあわせのコーンなどは糖質が多いので要注意。ただし、ビジネスパーソンの場合は、ランチメニューで糖質を摂らないのは難しいので、朝食と夕食で主食を抜くパターンでもかまわない。なお、栄養補助スナックバーは、小麦粉や甘味料などが含まれているので避けよう。
3.糖質をカットすれば、さまざまなメリットが
糖質制限をすると、いろいろなメリットがある。まず、肥満ホルモン(インスリン)の分泌が少なくなり、体脂肪がつねに燃焼される。また、肝臓でアミノ酸から糖をつくる「糖新生」により、血糖値は一定水準に保たれ、多くのエネルギーが消費される。さらに、脂肪酸の代謝産物「ケトン体」がつくられるが、ケトン体は含有カロリーとともに尿中に排泄されるため、ここでも減量効果が期待できる。ケトン体は脳でも盛んに利用される。「脳のエネルギーは糖質だけ」というのは間違いなので、糖質制限をしてもOKだ。
4.糖質オフの食品を積極的に活用
清涼飲料水や缶コーヒーをはじめ、発泡酒、日本酒、パンなど、最近は糖質ゼロや糖質カット商品が発売されている。エリスリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースは、現在、日本で一般的に使われている、血糖値を上げない甘味料なので、賢く取り入れたい。チョコレートは、カカオ分が高く相対的に砂糖が少ないものなら、スーパーなどでも入手しやすい。パンは、ふすま(小麦の外皮)や大豆の粉を使用したタイプは糖質が低い。これら糖質カットの商品を集めた通販サイトなどもあるので活用しよう。
5.できるだけ体を動かす
糖質制限していれば、特に運動をしなくても、すみやかな減量が期待できるが、日常生活の中で、無理なく体の活動量を高めれば、より効果的に減量できる。特に、ランチで糖質を多く摂ってしまった後は、少し遠回りしてウォーキングしながら仕事場に戻るなど、糖質をため込む前に使いたい。積極的に階段を利用するなど、日常の範囲で活動量を増やせば、鬼に金棒だ。ただし、肥満傾向の人は、激しい運動は避け、まずは糖質制限食で減量を目指そう。
PROFILE : 大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士。NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事。明星大学人文学部卒業。二葉栄養専門学校卒業。都内の3つのクリニックで、糖尿病、機能性低血糖症、脂質代謝異常、肥満等、生活習慣病の治療、予防のための食事指導を担当。講演会、レシピ提案、監修等を通し、広く情報を発信。著書に『糖尿病のための糖質オフごちそうごはん』(アスペクト社)をはじめ、『糖質オフのおいしいお菓子とパン』(アスペクト社)、『満腹ダイエット』(プレジデント社)の監修等がある。