CAになって3年でファーストクラス専任に昇格できたのも、そうした平等な社風があったからだ。ファーストクラスには他のクラスにはない特別な働き甲斐があるという。

山口「エミレーツ航空のファーストクラスは3名の乗務員で最大8人のお客様をお世話しますから、乗務員1人あたり2~3名の担当で、じっくりとサービスできます。ひとりひとりのお客様とより近しくなれ、よりご要望に合わせた対応ができることに喜びを感じますね。外国人観光客の方に日本の見所をお話する時にも、やりがいを感じます。

好きな言葉は、「心に感謝の気持ちを忘れないこと」。エミレーツ航空に入社してからも自分ではできないことも周りに助けられてきた、どんな時も周りの人に支えられていることを忘れないでおきたいそうだ

ドバイで乗り継いで他の国へ行くフライトには日本人CAが乗務することが少ないですから、日本人のお客様がいらっしゃると外国人CAが私を呼びに来ることも多いです。ファーストクラスからエコノミークラスに呼ばれたり(笑)。でも、そういう時は、私の出番! だと思っていますから、逆に嬉しくなります」

CAのサービスが良ければ機内の快適さもさらに増すというものだが、エミレーツ航空のファーストクラスは設備や機内食も一流だ。

山口「日本路線にも就航しているボーイング777型機(トリプルセブン)は全席が個室タイプでプライバシーを保護。座席をベッドにした時の全長は198cmにもなります。19インチのワイドスクリーンで1,200チャンネルものエンターテインメントを楽しめ、シート幅も広く、日本人の男性が胡坐をかいてリラックスされている姿もよく見かけます(笑)。機内食はお好きな時間に食べられますし、ホテル並みのサービスだと自負しています」

全室個室でプライバシーが守られるファーストクラス専用シート。フルフラットシートで横になると、天井には瞬く星が見えるという演出も

個人的にもサービスがレベルアップするように工夫しているようだ。

山口「仕事でファーストクラスのクオリティの高いお料理をお出しするうちに、自然と料理や料理をお出しするサービスの腕を磨きたいと考えるようになりました。乗務員が暮らすドバイは、ヨーロッパに近く、私はパリのリッツ・エスコフィエに休暇を利用して留学し、フランス料理を学んでいます。そこで教わった三ツ星レストランの考え方や姿勢は非常に勉強になり、機内サービスに活かせる点がたくさんあるんです。たとえばグリーンピースの皮は一粒残らずきれいに剥くなど、お客様に不快な印象を与えないような気配りと思いやりの創意工夫をするサービスへの姿勢などはとても勉強になります」…つづきを読む