減量時には、できればお酒は控えたいものだが、お酒好きとって禁酒というのはツライもの。かえってストレスになってしまう人もいるかもしれない。では、そんなときはどのようにお酒とつきあえばいいのか、管理栄養士の大柳珠美氏に聞いた。

1.焼酎、ウイスキー、ブランデーなど蒸留酒を選ぶ

アルコールそのものは「エンプティ(空っぽの)・カロリー」と呼ばれ、肥満につながるものではない。原材料がイモ、米、麦など糖質が多いものでも、蒸留の過程で糖質はゼロになる。血糖値が上昇することはなく、糖質の多いつまみさえ食べなければ、飲んでいる最中でも体脂肪が燃焼する。減量中は、焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジンなど、蒸留酒を選べば安心だ。もちろん、飲みすぎには要注意。

2.「割る」際には、注意が必要

適量の蒸留酒であれば、減量中でも安心だが、「割る」場合には注意が必要だ。果汁や甘い清涼飲料水などで割るサワーは口当たりがいいものの、ついつい飲みすぎてしまうこともある。果汁や清涼飲料水から大量に糖質を摂っていたという事態にもなりかねない。割る際は、お湯、水、お茶など、糖質やエネルギーがないものにしよう。最近よく見かける「糖質ゼロ」の清涼飲料水を使うという手もある。

3.カクテル、甘酒、梅酒にも気をつけて

カクテルの多くは、蒸留酒をベースにしているが、糖質の多いジュースやシロップ類が入っていることがよくあるので減量中は避けたい。トマトジュースで割るカクテルは比較的、糖質が少なくおすすめ。ただし、トマトジュースにも100g中3.3gの糖質が含まれている。「野菜=ヘルシー」という感覚で飲みすぎると、糖質を多く摂ってしまうので要注意。甘酒、梅酒など甘さが際立ったタイプのお酒は、もちろんNGだ。

4.純米酒、ビールなどの醸造酒は少なめに

糖質を多く含む醸造酒を飲むと、糖質の量に比例して血糖値が上がり、脂肪燃焼のスイッチが入りにくくなってしまう。減量中の飲酒は、アルコールではなく、糖質の多さが問題なのだ。例えば、純米酒180ml(g)には6.5g、ビール中1缶350ml(g)には10.9gの糖質が含まれている。おちょこひと口やグラス1杯程度で済めばいいが、なかなかそうはいかないもの。「糖質ゼロ」の発泡酒や日本酒が登場しているので、醸造酒好きはこちらを楽しもう。

5.糖質の少ないつまみをしっかりと食べる

減量中だからといって、つまみを食べずに飲むのはやめよう。刺身や焼き魚、焼き鳥、豆腐サラダや酢の物など、糖質が少なく、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富なつまみを食べるよう心がけたい。そうしないと、アルコールを代謝する肝臓がオーバーワークとなり、血糖値を一定に保つ「糖新生」という肝臓の大事な働きが後回しとなって、低血糖を起こしやすくなる。もちろん、飲みすぎとシメにラーメンなどの糖質を摂るのは避けるように。

PROFILE : 大柳珠美(おおやなぎたまみ)
管理栄養士。NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事。明星大学人文学部卒業。二葉栄養専門学校卒業。都内の3つのクリニックで、糖尿病、機能性低血糖症、脂質代謝異常、肥満等、生活習慣病の治療、予防のための食事指導を担当。講演会、レシピ提案、監修等を通し、広く情報を発信。著書に『糖尿病のための糖質オフごちそうごはん』(アスペクト社)をはじめ、『糖質オフのおいしいお菓子とパン』(アスペクト社)、『満腹ダイエット』(プレジデント社)の監修等がある。