1.聞いてもらえる(Listen To)
シニアなコンサルタントになればなるほど、この部分が重要だと考えます。聞いてもらえない状況では、いくら優秀なコンサルタントだとしても、その能力を発揮する環境すら提供されないことになるからです。
この聞いてもらえるという状態には、最初の印象がとても重要です。話し方以前に注意する点があります。
(1)見た目
この部分はどんなにビジネスと割り切っても、人間同士なので好き嫌いの影響が少なからずある部分ではありますが、できるだけ話を聞いてもらえる見た目として"服装"や"姿勢"、"態度"など、すべてに心配りをすることが重要です。
コンサルタントとしてふさわしいプレッシャーを掛けられるダークな服装やクールスマイル、もしくは整った服装を心掛けて良い印象を与えましょう。
(2)話の導入部分
最初からビジネスの話を始めて、辛辣な結論から話すという奇策もあります。これは演出を練りに練った最終提案では通用するかもしれませんが、一般にはお勧めはしません。
まずは基本に立ち返って、時節の話から始めることをお勧めします。天候や行事のことなどでも良いと考えます。ただし、政治的な話や宗教的な話から入ることは決してしないでください。
2.理解してもらえる(Understand)
どんなに話し方がうまく好感度があっても、話の内容を理解してもらえなければコミュニケーションが成功しているとは言えません。理解してもらうためには、重要なポイントがいくつかあります。このポイントさえおさえれば、十分に成功の可能性が出てきます。
(1)専門用語を並べない
SAP固有の用語や一般的だと思い込んでいる略語を並べて、さも得意げに話すことは絶対にしないでください。できるだけ分かりやすい言葉で、かつどうしても必要な専門用語には、丁寧な解説を付けて理解の促進をしてください。
(2)お客様のビジネス用語で話す
業界によっては、同じ意味の言葉でも違う用語で話されます。業界知識と通じる部分になりますが、できるだけお客様のビジネス用語を取り入れて話をしてください。
たとえば、消費財業界などでは帳合と言われるリベートが、別の業界では口銭と呼ばれたり、単に手数料と呼ばれたりするなど、お客様に合った言葉で説明をすることが重要です。
もちろん、複数の呼称を提示してお客様が理解しやすい言葉を探ったり、自分自身の博識ぶりをちらりと見せるのもソフトスキルの「アピール力」の1つです。必要に応じて活用すると良いでしょう。
(3)分かりやすい構成
会話の構成力は、コミュニケーションスキルの中でも特に重要な点です。
はじめに結論を軽く述べ、仮説説明を起こし、追加説明を実施し、メリットデメリットを話し、さらになぜその結論や推奨になったのかを説明する。この王道とも言える"構成のフレームワーク"を採用するなどして、簡潔でわかりやすい内容を心掛けてください。
また、補足が必要だと感じた部分では、別途資料を用意して詳細データ等を提示することで相手の理解を得られるケースが少なくありません。話して聞かせる部分と読んで理解してもらう部分を分けるのは、基本テクニックの1つとして覚えておいて損はないでしょう。
(4)メッセージング
「結局、彼は何を言いたかったのか…」こうなってしまったら、そこでコンサルティングは終わりです。必ず何を伝えたいかを明確にして話をしてください。
私はめったにメモを読むことはありませんが、長い時間を要する最終プレゼンテーションなどでは、"伝えたいメッセージ"だけをメモとして忍ばせておくことがあります。お客様とのQAが長くなったときなども、このようなメモで最終メッセージを確認できれば、脱線した会話の流れを立て直しやすくなります。