ひまわり証券が提供している売買システム紹介の第2弾は、West Village Investment 社が開発・リリースしている「ドル円もん」だ。

West Village Investment 社は、もともと先物関連の売買システム開発を行っている会社だが、ドル円もんについては、同社では初めてのFX対応売買システムになる。2009年11月末時点において、ひまわり証券が扱っている売買システムのなかで2位の成績を収めただけでなく、月中9回のトレードで勝率は100パーセント。つまり9勝0敗という驚異的な勝率を上げた。

その特徴は、極力、投資リスクを抑えたトレードを行うことにある。FXの売買システムは、多くがスイングトレード型だ。つまり、エントリーしたら1~2週間程度ポジションを保持する。そのため、大きなトレンドが発生している時には高いリターンが期待できるが、半面、ポジションを長く保持することのリスクも覚悟しなければならない。

ドル円もんの場合、FXの売買システムには珍しいデイトレード型で、1日のうちに最大2回のトレード回数に限定されている。たとえば、朝9時にエントリーして午後1時にイグジット、さらに17時にエントリーして18時にイグジットといった具合に、1日のうちに最大2回のトレードを行い、その日が終わった時点では、いっさいポジションを持たない状態にする。ポジションを保持する時間が短い分だけ、不確定要素によって損失を拡大させてしまうリスクを軽減できる。

過去の運用実績を見ても、リスクの低さは明らかだ。証拠金として50万円を預託し、10万ドルのポジションを持った時の最大ドローダウンは20万2000円。1ドル=90円であれば、10万ドルのポジションは900万円になるので、1日で最も値下がりしたとしても、率にすればマイナス2.24%程度。ポジションの大きさから考えると、この程度の最大ドローダウンで収まっているのは、このシステムが、いかに安全性を重視した設計になっているのかということを物語っている。

一方で、気になるリターンはどのくらいだろうか。一般的にリスクを抑えれば、その分だけリターンも頭打ちになるのが普通だが、それでも同システムでは、平均年利回りベースで159%という高収益を実現している。もちろん、他のシステムを見れば、これをはるかに上回るリターンを実現しているものもあるが、えてしてハイリターンを狙ったロジックを持つ売買システムは、リスクも高い。ドル円もんのように、日中の最大ドローダウンを2.24%程度に抑えて、これだけのリターンを稼ぎ出せるという点は、素直に評価しても良いだろう。

このように、比較的高いリターンを、リスク限定で実現している秘訣は、デイトレードによって、ポジションを保持している期間中におけるリスクを最小限に抑えていることに加え、独自ロジックを2つ内蔵している点にある。つまり、ロングエントリーもしくはショートエントリー、順張りもしくは逆張りというように、取引の方向性や取引時間を分散させることによって、一種のポートフォリオ効果を狙っているため、損失を抑えたうえで、高いリターンを追及できるのだ。

また、常にポジションを取るのではなく、ここぞという時にしか動かないという点も、リスクを抑えるうえでのポイントになっている。11月中を見ても、トレード回数はわずかに9回。1日のうちに2回のポジションを取ったとしても、20営業日中4営業日しかポジションを持たなかったことになる。「のべつまくなしトレードをしない」という点は、システムトレードに限らず、裁量トレードの世界においても、いたずらにリスクを拡大させないためには重要になってくる。

実際、どの程度、ドル円もんの運用が安定しているのかという点については、同システムの資産曲線グラフを見れば明らかだ。バックテスト、そしてリアルトレードを通じて、トレード回数を重ねるなかで右肩上がりの曲線を描いている。初めてシステムトレードに挑戦しようという人にとっては、魅力的な選択肢になるだろう。