LiveCycle ESの強みはデザインに強いこと

エンタープライズソリューションを提供している企業はいくつもある。そうした競合ベンダと比較した場合、LiveCycle ES2の最大の強みは、「デザインに強い」「Flashをもっている」という、Adobeそのものの強みを生かせることである。LiveCycle ES2では従来のエンタープライズソリューションのように、データがあり、モデリングがあり、それに操作用のUIをかぶせるというアプローチとは逆のアプローチが可能だ。オペレータがこう操作した方が便利だから、そのように変更する - これが簡単に実現できるのがLiveCycle ES2だ。サウスワークの事例はそのもっともわかりやすい例といえる。数千ある入力フォームを、LiveCycle ES2の機能でまとめあげた。これこそがUIからのアプローチだ。

WebサービスやWebアプリケーション、Webブラウザの進歩は著しい。もはやコンシューマ用途のWebサービスのUIはデスクトップに引けをとらないか、それを凌駕しつつある。これと比べ、エンタープライズレベルのUIは昔ながらで扱いにくく、柔軟性もない。効率を求めるオペレータはストレスを感じるだろう。当然業務効率も悪い。ふだん使っているポータルサイトのように自分の求める情報を自由に配置し、フィルタリングし、企業内外どこかでもどのデバイスからもアクセスして使いたい。それを実現できるのがLiveCycle ES2というわけだ。

Amazon EC2対応とiPhone対応

LiveCycle ES2の新機能については先のレポートを参考にしてほしいが、ここではLiveCycle ES2の新機能をとくに2つだけ紹介しておきたい。クラウドサービス対応とiPhone対応だ。日本ではショッピングサイトという面が強烈でエンタープライズという面ではあまり注目されないAmazonだが、Amazon EC2は代表的なクラウドコンピューティングプラットフォームだ。オンラインショッピングの要領で、簡単にクラウドプラットフォームを構築できる。

LiveCycle ES2ではAmazonの提供しているクラウドコンピューティングプラットフォームへの対応が予定されている。登場は2010年になる見通しだが、これが実現されればコンピューティング環境を自社に用意する必要がなくなる。数回のクリックでLiveCycle ES2が利用できる環境が手に入る。

もうひとつはiPhoneなどのモバイルデバイスへの対応だ。Apple App StoreにはLiveCycle EC2を活用するためのアプリケーションAdobe LiveCycle Workspace Mobile ES2が提供されている。iPhoneアプリそのものは無料だ。BlackBerryやWindows Mobileからもアクセスできる。Appleの思惑もあり、AdobeはiPhoneで動作するFlashを提供できないでいるが、専用アプリケーションの提供やFlashアプリケーションコンバータの提供など、iPhoneへの注力は継続されている。効率の良いビジネスを考えた場合、iPhoneやBlackBerryのようなスマートデバイスへの対応は欠かせない。

App Storeで提供されているAdobe LiveCycle Workspace Mobile ES2 - iPhoneアプリそのものは無料だ