米連邦取引委員会(FTC)は12月16日(現地時間)、米Intelを提訴したと発表した。FTCによれば、同社は過去10年間にわたる独占的地域を利用して競合の排除や独占強化を違法に進めてきたことが背景にあるという。またFTCでは商習慣だけではなく、コンパイラへの細工で他社製CPU上でパフォーマンスを発揮できないよう意図的な排除を行っていた疑いもあるとしており、独占禁止法の観点から全面的な調査が行われることになりそうだ。
FTCの訴状によれば、Intelは自社より優れたライバル製品を市場から排除するよう施策を巡らし、消費者から選択の自由や革新を奪うことで不利益を被らせたと記している。FTCのBureau of Competitionでディレクターを務めるRichard Feinstein氏は「Intelは自身の独占に脅威となる競合を排除するための戦略を意図的に推進してきた。今回の訴訟はIntelがライバルや革新、究極的には米国ユーザーに与えてきたダメージを回復させることを目指している」とコメントしている。
Intelのこれまでの競争妨害行為としては、Dell、Hewlett-Packard (HP)、IBMといったPCメーカーらに対して脅迫と報酬の両面をもって競合排除を行ってきたことを挙げている。具体的にはライバル製品を採用しないことを強要し、独占契約または契約に制限をつけるといった行為を続けてきたという。またこうした行為を補強するために、前述のようにコンパイラを密かに改造してライバル製品より自社製品で高いパフォーマンスを得られるよう細工し、顧客に対するアピール材料にしていたとFTCでは説明する。このほか、CPUの独占的地位を活かしてGPUや他の関連製品でバンドル価格を提示して競合製品の締め出しにかかるといった行為も問題視されている。ここで競合のライバルとしては、Advanced Micro Devices (AMD)とNVIDIAの名称が挙げられている。FTCでは、Intelのこれら行為はFTC法の5節に違反しているとしており、前述のようなバンドル商法の停止、そしてPCメーカーらとの独占契約といった商習慣の禁止を視野に入れているという。
今回のFTCの訴訟の1カ月前、Intelは米ニューヨーク州によってやはり独占禁止法違反で訴訟を起こされている。またIntelは独占禁止法違反関連で日本、韓国、欧州で調査を受けており、欧州については10億6000万ユーロの罰金を言い渡されている。