およそ2年間、全面新築工事を行っていた箱根湯本の温泉施設「天成園」が16日、グランドオープンした。それに先立ち13日に、関係者やマスコミへ向けたプレオープンが実施された。与謝野晶子ら文人たちにも愛された天成園がどのように生まれ変わったのか、レポートする。

自家湧出の「美肌うるおいの湯」

箱根湯本駅から歩いて10分ほど、かつて小田原藩主の家系の稲葉氏ゆかりの地に、天成園は位置している。1945(昭和20)年創業の天成園は、老舗旅館としての歴史を誇っていたが、老朽化により全面リニューアルされ、客室数243室の大型温泉施設へと姿を変えた。

滝通りを進み、須雲川に架かる橋を渡ると、天成園の大きな建物に到着する

天成園は自家湧出の良質な天然温泉で知られる。敷地内に4本の源泉があり、それを館内の温泉施設に提供している。無色透明でまろやかな弱アルカリ性の温泉は、「美肌うるおいの湯」とも称され、神経痛や筋肉痛、関節炎、関節のこわばり、うちみ、冷え性、疲労回復などの効能があるとされている。

7階にある男性用の露天風呂。これからは夜空に広がる星も楽しみな季節がやって来る

女性用の屋上天空大露天風呂は6階、男性用の屋上天空大露天風呂は7階にあり、6階には家族風呂も設置されている。女性用、男性用ともに、露天風呂のほか、内風呂、石風呂、寝湯、サウナ、ミストサウナ、水風呂などを完備。韓国式あかすりも用意されている。

箱根湯本地区初めての23時間営業

施設の充実ぶりは言うまでもないが、天成園の温泉施設の大きな特徴は、午前10時から翌午前9時まで23時間営業であるということ。この長時間営業は、箱根湯本地区では初の試みだ。日帰り利用の幅が格段に広がっただけではなく、宿泊との組み合わせもよりフレキシブルになった。

露天風呂付の部屋は5階の山側にあり、それぞれ花の名前が部屋につけられている。なんとも贅沢な趣だ

例えば、天成園のチェックインは午後3時、チェックアウトは午前10時となっているが、チェックイン前、またはチェックアウト後、日帰り温泉利用で長時間の滞在も可能となる。日帰り温泉での入館料は2,400円(中学生以上)に対し、宿泊して前後に日帰り温泉に入る場合は、前後それぞれ1,000円で利用できるシステムだ。

効率的に時間を利用したい日帰り派にも、できる限りじっくりと温泉を堪能したい宿泊派にもメリットがあるこのシステムは、注目されるに違いない。