「エコプロダクツ2009」のカシオ計算機ブースでは、「美しい地球と未来の子供たちのために~テクノロジーとエコロジーの調和~」をテーマに同社の環境への取り組みを展示。本レポートでは、環境配慮型製品や個装箱小型化によるCO2削減の効果、同社が独自に策定した「カシオグリーンスター」の活動などを紹介しよう。
省エネで進化するデジタルカメラとソーラー発電時計
同社では得意とする小型・軽量・薄型の技術を駆使し、省電力で環境への負担が少ない製品開発に取り組んでいる。世界に先駆けてフィルム不要の液晶ディスプレイ付きデジタルカメラを市販した同社では、デジタルカメラの省エネ性能も年々進化。7月に発売した「EX-H10」では、回路や動作制御の省電力化により1回のフル充電で1,000枚の撮影が可能だ。2008年発売の「EX-Z200」と比較して、撮影1枚あたりの消費電力を40%削減したという。また、腕時計の駆動には使い捨ての電池を使用しないソーラー発電を20年以上前から採用。大容量化を実現した最新のソーラー充電システムでは、電波機能や気圧・高度の計測用センサーを駆動するなど、省エネと最先端の機能を両立したと説明している。
トナー購入でCO2をオフセットする「回収協力トナー」
法人向けのページプリンタ関連では、印刷時にプリンタが使用する電力に相当するCO2排出分をオフセットするカーボンオフセット付き「回収協力トナー」を展示。植林やクリーンエネルギー事業など、各地で実施されるCO2削減プロジェクトの排出権を同社が購入することでオフセットを行う。同トナーの販売による2008年7月1日~2009年3月31日の総CO2排出換算量は906トンに達し、1年間に杉の木1本が吸収するCO2量に換算すると約6万4,714本分に相当するとしている。対応プリンターは、SPEEDIAシリーズの「N3600」「N6100」「V2000」「B9000」。
また同トナーでは、廃棄物ゼロを目指し使用済みカートリッジの回収促進を訴求。使用済みカートリッジを同社へ返却することを条件に低価格で提供され、同社が無料で回収。分解、洗浄のうえリユースやリサイクルを実施するとのことだ。
パッケージの小型化によりCO2を削減
ブースでは製品本体の小型化・軽量化だけではなくパッケージ小型化の事例を紹介。1回に輸送できる商品数が増えることにより輸送効率が改善され、輸送時の燃料消費量およびCO2排出量を削減できたと解説している。デジタル写真プリンタ「プリン写ル」ではパッケージの体積を26.5%削減し、40フィートコンテナへの積載効率が36.0%向上。法人向けのハンディターミナル「DT-X7」ではパッケージの体積を44.7%削減し、40フィートコンテナへの積載効率が88.7%向上したとのこと。
また、トラック輸送から鉄道貨物輸送への切り替えを行い、国土交通省および鉄道貨物協会が制定する「エコレールマーク」の認定を取得したという。同マークは、CO2排出量がトラック輸送に比べて約1/7とされる鉄道貨物輸送を活用して、地球環境問題に積極的に取り組んでいる商品・企業であることを示すもの。500km以上の陸上輸送において、30%以上の輸送に鉄道を利用している商品であることが認定基準となる。
環境対応のさらなる促進のために策定された「カシオグリーンスター」
従来より同社では、環境配慮型製品の開発を推進するための取り組みを実践している。商品の環境負荷を最小にするため企画、デザイン、設計の各段階で環境への影響を事前に評価し、社内基準を満たした商品をカシオグリーン商品として認定。2008年度にはカシオグリーン商品の売上比率が84%を達成したことを受け、本年度からはカシオグリーン商品の中で特に環境に対して優れたものを「カシオグリーンスター商品」と位置付け、カタログやパッケージなどに環境配慮ポイントを記載して訴求しているという。
カシオグリーンスター商品の評価基準はカシオグリーン商品よりも厳しく、使用時の消費電力を20%以上削減している、太陽電池を使用しエコマークを取得している、本体体積を20%以上削減している、総重量比30%以上の再生プラスチックを使用しているなど、いずれかの項目に該当することが条件となる。
さらに、設計、調達、生産、梱包、物流、リサイクルの各ステージ毎に環境負荷軽減への取り組みを強化し、商品のライフサイクルにおける全ステージで環境に与える影響を抑制。これを「カシオグリーンスターコンセプト」と称し、カシオグリーンスター商品の拡大に向けて活動を開始したとのこと。同社では2012年度までにカシオグリーンスター商品の売上比率30%達成を目指すとしている。