給食を食べた子どもたちの目の輝きに魅せられて
TABLE FOR TWOで集まった寄付金はアフリカのルワンダ、マラウィ、ウガンダの子どもたちの給食に使われている。小暮氏はこの3国が選ばれた理由として、「貧困状況にある」、「政情が安定している」、「給食を運営できる体制がとれる」ことを挙げた。
同氏によると、サハラ以南は貧困が悪化しており、同地域に住む人々は調理していないマンゴ、トマト、アボカドなどを食べているという。「水が身近になく、また、火や電気も整備されていないため、火を使った調理が簡単には行えない」
同氏は寄付金がきちんと使われているかを確認するために、3ヵ月に1度、アフリカに足を運んでいる。そこで、給食を食べている子どもたちと直接触れ合い、現地で見聞きした内容を「かわら版」としてWebで公開している。
同氏の言葉で印象的だったのは、「ご飯を食べている子どもたちは目の輝きが違う」というものだ。講演はスライドを見せながら行われたのだが、給食を食べている子どもたちの目は確かにキラキラとしていた。
ちなみに、給食で出される食事は「ポショ」というアフリカの料理だ。とうもろこしをふかしたものに、豆を煮込んだスープをかけたものだ。
TABLE FOR TWOによって学校給食が実現したことで、子どもたちの健康状況だけでなく、就学率と教育の質も向上したという。
「給食が出るようになって、家庭での食事の負担が減るため、学校に来る生徒が増えた。また、食事をすることで、授業に対する集中力が高まった。ある学校では、高等教育の入学試験の合格率が上がった」
1食の20円が集約されることで、これほどまでの効果があるとなると、参加者としても嬉しいだろう。同氏は、「20円が世界をつないでいる。20円で地球に住んでいるという責任を果たす」と表現した。
社会貢献の成功のカギは担当者の情熱
小暮氏は、企業・組織において社会貢献を盛り上がるかどうかは、担当者の情熱にかかっていると述べた。
TABLE FOR TWOは企業のほか、大学・病院などでも実施されているが、九州地区には大変熱心な大学職員の方がいるそうだ。その人は自分の大学に加えて、他大学に対しても積極的に働きかけを行っており、九州地区ではTABLE FOR TWOに参加する大学が増えているとのこと。
前述のオイシックスでも社員の人がTABLE FOR TWOのコンセプトに大きく共鳴してくれており、どんどん商品が増えているそうだ。
またある企業では、取締役を食堂に連れてきたことで、一気にTABLE FOR TWOの活動が加速した。「全社で取り組むという強い気持ちが大切」
なお会場では、TABLE FOR TWOではなく、「CUP FOR TWO」ということで、キーコーヒーの協力で、20円でコーヒーが販売され、その代金がTABLE FOR TWOに寄付されるという取り組みが行われていた。
コーヒー好きの人であれば、1日数杯コーヒーを飲むであろう。そのうちの1杯でも、TABLE FOR TWOの商品を飲めば、社会貢献ができる。このように、参加者が一方的に何かを与えるのではなく、社会貢献に参加できるのがTABLE FOR TWOのいいところだ。
小暮氏によると、米国では"就職したい企業トップ10"に社会事業を行う団体がランクインしているという。日本ではまだそこまでの状況には至っていないのが実情だ。同氏は、「今後、日本でも社会事業がキャリアとして確立できる状況を築いていきたい」と語ったが、TABLE FOR TWOの成長を見ていると、その実現はそう遠くない日のような気がする。