日立ソフトウェアエンジニアリング、日立情報システムズ、日立システムアンドサービスは、各社社員を対象に協働し、「ソーシャル・イノベーター育成講座~いまこそ、私たちの手で社会変革を」 と題するCSRをテーマとした講演イベントをシリーズで開催する。
12月2日、その第1弾として、特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」 の理事・事務局長である社会起業家、小暮真久氏を招いた講演が行われた。
社員食堂ですでに「TABLE FOR TWO」を体験済みの方もいるのではないだろうか? TABLE FOR TWOとは、対象となる定食や食品を購入すると、1食につき20円の寄付金が、同法人を通じて、開発途上国の子どもの学校給食になる仕組みである。
以下、TABLE FOR TWOの仕組みなど、小暮氏の講演を紹介しよう。
社会事業とビジネス、仕組みは同じ
小暮氏は初めに、「社会事業はビジネスとして取り組むものであり、ボランティアとは違う」と話した。「社会事業とは、社会が抱えている矛盾に光を当て、解決策を模索し、問題を解決していくこと。いわば、私の前職だったビジネスコンサルの仕事と似ている」
一般に、社会事業はボランティアと間違われやすいが、それは「誤解」だという。
TABLE FOR TWOが立ち上がったきっかけは、世界人口において、過体重人口と飢餓人口がそれぞれ約10億人いることにある。つまり、過体重の人々の余分な食べ物を、飢餓状態の人々に分ければ、食糧もムダにならず、飢餓状態の人々は飢えから脱することができ、一石二鳥というわけだ。同氏によると、日本では年間2,000万トンの食糧が廃棄されているという。
TABLE FOR TWOでは、「730キロカロリー程度」で「バランスが適正」で「野菜が多め」の低カロリー食を用意し、この代金のうち20円が寄付金となる。同氏によると、20円でアフリカの子どもたちの1食ができるそうだ。
「TABLE FOR TWOには、"過食と飢餓という課題の解決"、"1食が1食に変わる"、"参加者にとっても健康によい"といった特徴がある」
同じ値段の一般商品よりも売れたTABLE FOR TWO商品
現在、TABLE FOR TWOに協力している企業は200社を超えるそうだが、開始当初は参加企業が20社からなかなか増えず、苦しかったそうだ。「そんな苦しい状況を打破するきっかけとなったのはメタボ検診」だったと小暮氏は言う。
2009年10月時点で、200万食が提供されており、これは9,000人の子どもの1年分の給食に当たるそうだ。これを脂肪に換算すると、何と56トンに上る。「TABLE FOR TWOによってカロリーが移動した」と同氏。
TABLE FOR TWOの活動はこれまで社員食堂に限定されており、それが活動を広げる足枷となっていたが、最近は、「カフェ・レストラン」、「自販機」、「コンビニエンスストア」、「通信販売」に活動の幅が広がっているという。
レストランとしてはデニーズ、コンビニエンスストアとしてはファミリーマートやスリーエフ、通信販売としてはオイシックスがこれまでに協力している。
同氏は1つ面白い話をしてくれた。食材の通信販売を手がけるオイシックスでは、カレーとベーグルのTABLE FOR TWO商品を取り扱っているそうだが、同じ値段の一般商品よりもTABLE FOR TWO商品のほうが売れたというのだ。
同氏は「社会貢献できるということが、TABLE FOR TWO商品の購買要因になっている。社会に役立つことが価値、ブランドにつながっている」と語る。
こうした実績がデータとして形に表すことが可能になったことで、ずいぶんと活動がしやすくなったそうだ。