日銀が10日発表した11月の国内企業物価指数(速報、2005年平均=100)は前年同月比マイナス4.9%の102.2だった。11カ月連続の前年比マイナスとなるが、7、8月のマイナス8.5%を最大に下落幅は3カ月連続で縮小した。前月比はプラス0.1%。
企業物価指数は、企業間で取引される財の物価の変動を示すもので、景気動向や金融政策の判断材料を提供する目的がある。国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数から構成されている。
国内市場向け国内生産品を対象にした「国内企業物価指数」が前年水準を下回るようになったのは今年1月から。原油が高騰した昨年夏との比較で「石油・石炭製品」が全体の指数を大きく押し下げていたが、その影響が小さくなったことが全体の下落幅を縮小させている形だ。
ただ、11月の工業製品の指数をみると、「窯業・土石製品」が前年同月比プラス1.7%、「非鉄金属」が同プラス1.5%となったほかは、すべて前年比でマイナスに。特に「鉄鋼」(マイナス20.2%)、「化学製品」(マイナス6.6%)や「情報通信機器」(マイナス6.5%)などの下落が目立っている。なお、前月比でのマイナスへの寄与度が高かったのは「鉄鋼」、「電子機器・デバイス」など。
輸出物価指数は87.1で、前年同月比(円ベース)でマイナス3.5%、前月比(同)でマイナス0.3%だった。一方、輸入物価指数は100.3で、前年同月比マイナス11.9%、前月比で+0.8%。契約通貨ベースでは輸出物価指数が前年同月比マイナス0.2%、輸入物価指数が同マイナス6.7%とそれぞれ下がっている。