財務省は8日、10月の国際収支状況(速報)を発表した。貿易収支/サービス収支/所得収支/経常移転収支の4項目から構成される「経常収支」は1兆3,976億円の黒字だった。黒字は9カ月連続で、前年同月比では4,181億円(+42.7%)の大幅増。黒字額は3カ月連続で増加している。
所得収支の黒字幅は縮小したものの、貿易収支の黒字幅が拡大したことなどから経常収支の黒字幅が拡大した。
貿易収支は9,490億円の黒字。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったことから、黒字幅は、対前年同月比で8,124億円増(過去最大の増加額)となった。輸出は4兆9,657億円で、対前年同月比1兆6,163億円(24.6%)の減少。一方、輸入は4兆166億円で、対前年同月比2兆4,287億円(37.7%)の減少。輸出の前年同月比での縮小は13カ月連続、輸入は12カ月連続。 また、サービス収支は3,307億円の赤字。「輸送収支」や「旅行収支」の赤字幅は縮小したものの、金融、特許等使用料などが含まれる「その他サービス」の赤字幅が拡大したことから、対前年比で744億円のマイナスとなり赤字幅が拡大した。所得収支は前年同月比で3,680億円(30.3%)減の8,465億円の黒字。「証券投資収益」で、受取の減少幅が支払いの減少幅を上回ったことなどが影響した。
財務省国際局の担当者は「輸出、輸入額ともに前年比では減少しているが、輸出はアジア向けが持ち直したことで減少の幅が緩やかになった。その結果(輸出と輸入の)バランスで考えると改善した形」と話している。