MicrosoftとGoogleのビジネスについて最近よく聞かれる質問として、Smith氏は2つの項目を挙げた。
- Microsoftは、危機を脱したのか
- Googleはエンタープライズ市場へ進出する準備はできているのか
まず1つめについて。Smith氏はMicrsoftの変化を表すキーワードとして
- オンラインのOffice Live
- Windows 7
- 積極的なプロモーション
- Bing
- Azure
を挙げている。これらのビジネスが比較的良い形で進んでいるのは事実で、とくにWindows 7が順調な伸びを示していることから、Smith氏は「とりあえず、当面の危機は脱したと言える」と答える。だが「ネットブックからの収益をいかに上げていくか、また、まったく成功できなかったモバイル市場への訴求をどうするか、さらに検索および広告市場でいかにシェアを伸ばすか、といった大きな課題も残っている」状態だという。これらを克服しない限り、本当の意味で危機を脱したとは言い難い。
2つめのGoogleのエンタープライズビジネスに関しては、「エンタープライズにおいてもGmailは確実に拡がりを見せており、スマートフォンなどのモバイルデバイス上へのGoogleアプリケーションの搭載も進んでいる」とし、着々と準備は整っているという。だが、Googleの最大の弱みは、広告以外の収益源が不足していることだ。エンタープライズにシェアを拡げていこうとするなら、別の確固たる収入源がどうしても必要になる。さらにSmith氏は「Google DocsはMS Officeをリプレースするにはまったく至ってない。またWebブラウザChromeのシェアも、もっと大きく伸ばす必要がある」とし、エンタープライズ市場で成功するには「Googleはもっとアグレッシブになる必要があるのだが、その気配があまり見られない」とSmith氏は分析する。
プラットフォームビジネスをクラウドにも適用させようと図るMicrosoftと、すべてのユーザに対し情報へのアクセス手段を数多く、幅広く提供することでクラウドベースのビジネスを確立したGoogle。しばらくはこの構図に大きな変化はなさそうだが、両者とも水面下でそれぞれの弱点を克服すべく動き出している。1年後、クラウドビジネスの勢力地図はどのように塗り変わっているのだろうか。