現在発売中のDVD『ラブホテル コレクション-甘い記憶-/東日本』、『ラブホテル コレクション-甘い記憶-/西日本』(ともに3,990円 発売元:ゼアリズエンタープライズ/ポニーキャニオン)が話題になっている。
タイトルの通り同DVDは、国内にある趣向を凝らしたラブホテルの姿をあますことなく収めたもので、収録されたホテルは、東日本編が「ホテルアルパ」(東京都)、「ホテルくちなし城伊勢原店」(神奈川県)など9館、西日本編が「天女山アイネ香芝店」(奈良県)など5館。
本編では、音声による説明はなく、ホテルの壁やベッド、設備品の様子が粛々と映し出される。豪華絢爛だったり、すべり台があったり、回転ベッドだったり、江戸時代を思わせる作りだったり、西洋ロココ調だったり、レトロな車が置かれていたり、壁にこちらを覗き込むような多数の人の絵が描かれていたり……。意表をつくような様々な仕掛けを、カメラはアングルを変えながらゆっくりと丁寧に撮り続けている。
都築響一氏、金益見氏が制作協力
監督は『夏に生れる』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞、その後、ホラー作品『怪談 新耳袋』、サブカルドキュメンタリー『工場萌えな日々』『伊勢エロスの館・元祖国際秘宝館』などの作品を発表している村上賢司氏。協力は、クリエイターの都築響一氏、『ラブホテル進化論』(文春新書)で注目を集めた女性人間文化学者・金益見氏だ。「とてもシンプルな構成のDVDだが、あえて言葉や音楽を入れなかったことで、見る人の想像力がかき立てられるのでは」(金氏)。整然と片付けられた室内。だが、張りつめた空気の中で耳をすませば、どこからか吐息の聞こえる気がしてくる。
「ホテル富貴」(大阪府)と「ホテル千扇」(同)の撮影に協力したという金氏は、「ホテル富貴」について、「新しい趣向をどんどん取り入れるホテル業界の中で、70年代・80年代当時に作られた状態のままを残している。現在の女性オーナーさんが前オーナーだったお父さんの思いを受けて大事に使い続けているのですが、その心意気が素晴らしいと思う」と話す。同ホテルは「昔からのお客さんにゆったりくつろいでほしい」という意向から通常、取材には応じていないが、村上氏の「(建物の)記憶を残したい」という熱意が伝わり取材が可能となったという。以下、DVDに収録されているホテルの一部画像を掲載しているので、その世界観を堪能してほしい。