モバイル環境でHTTPライブストリーミングを実現する技術の特許を巡って、あるイスラエル企業が米Appleに対して警告を行っていることがわかった。12月2日(米国時間)に9to5Macが報じている。
Appleに対して警告を行っているのはEmblazeというイスラエル企業。9to5Macによれば、同社はライブストリーミングに関する技術を10年以上前から開発しており、1998年のイースターの期間中に、ホワイトハウスからのライブビデオ中継放送技術を一般に披露した実績があるという。同社の技術を使うとネットワークの帯域を温存しつつ、一方からもう一方のデバイスへの録画動作なしでの中継伝送を可能にする。この際、ストリーミングサーバなどの設備は必要なく、ファイアウォールのある環境でも問題なく動作する。EmblazeはAppleに対して同技術のライセンスを打診しており、告訴までの返答期限は15日としている。
先日、iPhoneでライブストリーミングを実現するアプリの登録を巡って、米Apple CEOのSteve Jobs氏がいったん登録拒否されたアプリの裁定を覆して認めることにしたという話題(「【レポート】Apple ジョブズCEO、鶴の一声 - 登録拒否されたiPhoneのライブ中継アプリが復活」)を紹介したが、Knocking Live Videoの仕組みはEmblazeの保有する技術特許と合致しており、両社のライセンス問題を巡る攻防の渦中に入った形となった。Emblazeは警告にも関わらずAppleが同技術を使用したiPhoneアプリを公開したと訴えているが、おそらくこのKnocking Live Videoのことを指すとみられる。
Emblazeに関しては、このライブストリーミング技術を採用した新型デバイスの準備を進めていることが知られている。同子会社のEmblaze Mobileは、英国ロンドンで携帯端末向け新プラットフォーム「ELSE INTUITION」、またこれを搭載した携帯端末「ELSE」を披露している。ELSE INTUITIONは日本のACCESSと共同でLinuxベースシステムとして開発、ELSEはタッチスクリーンと新機軸のUIを採用したモバイル機器となっている。ELSEは"iPhoneキラー"とも呼べる隠し玉的存在の製品としてプッシュされており、同社の保有する特許への抵触を理由にAppleを牽制する狙いがあるとみられる。