いずれ劣らぬ参加者たちが真剣な表情で競技に集中

11月23日、東京・秋葉原のデジタルハリウッド大学を会場に、タッチタイピングの技能を競う「第9回 毎日パソコン入力コンクール全国大会」が行なわれた。同大会は、今年度に各地で開催された毎日パソコン入力コンクールの成績上位者を集め、年に一度開催されるもの。

「毎日パソコン入力コンクール」は、毎日新聞社と日本パソコン能力検定委員会が主催し、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省などが後援。毎年、多くの人がコンピュータなどのIT機器を道具として自由に使いこなせるような社会建設を目指す国のIT新改革戦略の実現、IT教育の普及・促進を目的として実施されている。

第9回を迎えた今年度のコンクールでは、国内、海外を含む1,600を超える会場から、20万人以上の参加があった。そのコンクール参加者の頂点を決める大会とも言えるのが、今回の全国大会だ。以下の表で示すコンクール各部門において、その年度の成績上位者のみに全国大会への出場資格が与えられる。

■第9回 全国大会の実施部門
部門 今回の出場人数
第II類 フラッシュ暗算 40名
第II類 英単語 小・中学生 10名
第II類 英単語 高校生 11名
第II類 漢字 小学生 10名
第II類 漢字 中・高校生 11名
第II類 計算 17名
第1部 ホームポジション基礎 10名
第1部 ホームポジション応用 10名
第2部 ローマ字 10名
第3部 英文A 10名
第4部 英文B 10名
第5部 和文A 小学生低・中学年 10名
第5部 和文A 小学生高学年 10名
第5部 和文A 中学生 10名
第6部 和文B 高校生 10名
第7部 数字・記号 小学生 10名
第7部 数字・記号 中・高校生 10名

その全国大会の当日。午前に各部門の競技が実施され、午後にはさっそく結果発表、各賞の表彰式が行なわれる。競技で利用されたパソコン環境は、例年同様に公平性を保つため、同一スペックのパソコン+同一モデルのキーボード。肝心のキーボードだが、"その筋"では定番の東プレ「Realforce106」と、PFU「Happy Hacking Professional」から、参加者が好みに応じて選択できる方式だ。

競技会場にずらりと並んだパソコン環境。すべて同一のハードウェアとなっている。会場は今年も東京・秋葉原のデジタルハリウッド大学

キーボードは東プレ「Realforce106」と、PFU「Happy Hacking Professional」から選べる。どちらも、プロも認める高性能キーボードだ

競技中の模様だが、毎年のことながら参加者のレベルの高さに驚かされるばかりであった。小学校低学年から高校生まで、いずれ劣らぬ参加者たちが真剣な表情で競技に集中しており、みなが大人顔負けの技術を披露していた。昨年の第8回大会のレポートでも同じような感想を述べたが、その速度と正確さは、業務として毎日キーボードを打っている筆者の自尊心をズタズタにしてしまうほどである……。

表彰式の模様。参加者たちの努力が報われる瞬間だ。みんなちょっと緊張気味?

さて、各競技は特に大きな問題もなく進行。すべての参加者たちの努力を称えつつ、ここで各部門の主な個人表彰の結果と、あわせてコンクールの年間成績などから選出される団体賞(学校賞)の結果を発表しておきたい。

■第9回全国大会 主な個人賞の受賞者(敬称略)
部門 表彰内容 受賞者
第II類 フラッシュ暗算 文部科学大臣賞(1位) 秋山美波
(山梨県 昭和町立押原中学校2年)
第II類 英単語 小・中学生 総務大臣賞(1位) 鳥井友里恵
(愛知県 扶桑町立扶桑北中学校3年)
第II類 英単語 高校生 総務大臣賞(1位) 石原拓海
(愛知県 県立明和高等学校2年)
第II類 漢字 小学生 総務大臣賞(1位) 森大河
(茨城県 学校法人リリー文化学園リリーベール小学校5年)
第II類 漢字 中・高校生 総務大臣賞(1位) 山田島直哉
(兵庫県 神戸学院大学附属高等学校1年)
第II類 計算 文部科学大臣賞(1位) 赤堀愛果
(岐阜県 岐阜聖徳学園大学附属小学校4年
第1部 ホームポジション基礎 毎パソ特別大賞(1位) 志賀奈都美
(茨城県 高萩市立高萩小学校5年)
第1部 ホームポジション応用 文部科学大臣賞(1位) 沼田あゆみ
(茨城県 日立市立十王中学校3年)
第2部 ローマ字 文部科学大臣賞(1位) 杉山晃一
(東京都 足立区立蒲原中学校3年)
第3部 英文A 文部科学大臣賞(1位) 内山清香
(茨城県 高萩市立高萩中学校3年)
第4部 英文B 文部科学大臣賞(1位) 竹内智哉
(愛知県 名古屋市立菊里高等学校2年)
第5部 和文A 小学生低・中学年 文部科学大臣賞(1位) 樋本季子
(北海道 札幌市立栄東小学校4年)
第5部 和文A 小学生高学年 文部科学大臣賞(1位) 川畑拓也
(愛知県 豊田市立広川台小学校6年)
第5部 和文A 中学生 内閣総理大臣賞(1位) 藤本春佳
(徳島県 東みよし町立三好中学校1年)
第5部 和文A 中学生 文部科学大臣賞(2位) 関萌美
(兵庫県 神戸市立白川台中学校3年)
第6部 和文B 高校生 内閣総理大臣賞(1位) 栗間友章
(東京都 立教池袋高等学校2年)
第6部 和文B 高校生 文部科学大臣賞(2位) 藤本花奈子
(徳島県 県立脇町高等学校3年)
第7部 数字・記号 小学生 経済産業大臣賞(1位) 赤堀愛果
(岐阜県 岐阜聖徳学園大学附属小学校4年
第7部 数字・記号 中・高校生 経済産業大臣賞(1位) 佐藤隆太郎
(茨城県 高萩市立松岡中学校1年)
■第9回 主な団体賞の受賞校
表彰内容 受賞校
最優秀学校賞 兵庫県 神戸学院大学附属高等学校
優秀小学校賞 茨城県 学校法人リリー文化学園リリーベール小学校
優秀中学校賞 三重県 伊勢市立厚生中学校
優秀高等学校賞 兵庫県 神戸学院大学附属高等学校
特別優秀学校賞 岡山県 岡山市立伊島小学校

和文A 中学生部門で内閣総理大臣賞に輝いた藤本春佳さん。コンクールには過去6回ほど参加しているそうだが、「いちばんいい賞なので、いままでで一番うれしいっ!」。大会に向けた練習時間は意外に少なく、1日15分程度とのこと。パソコンは既に当たり前の時代になっているのだろう、家でも学校でも普段から日常的にパソコンを利用しているそうだ

和文B 高校生部門で内閣総理大臣賞に輝いた栗間友章さん。結果が出るまで、実は自信がなかったそうで、受賞で名前を呼ばれた時は「ほっとしました(笑)」。タイピングは、「将来に備えて、自然にはじめた」という。今後、タイピングを勉強しようと志す人に向けてのアドバイスを問うたところ、「どれだけタイピングしてきたかが大事。続けるには無理せず、楽しんでやることが秘訣」とのこと

表彰式では、毎日新聞社 デジタルメディア局 増田耕一局長が、主催者を代表して「パソコン入力の技能は、自分で情報を発信して行く力の基礎になります。みなさんには是非、この磨いた能力を活かして、将来、社会のために活躍して行って欲しいと思います」と、参加者にエールをおくった。

毎日新聞社 デジタルメディア局 局長 増田耕一氏

また、文部科学省の教科調査官である上野耕史氏は、参加者に向けて「社会のあらゆる状況で、みなさんの身につけた"入力"の能力が重要な力になります。いっそうの活躍を期待します」と話す。ちなみに、最近の学習指導要領では、パソコン操作の技能習熟の重要度が高くなっているそうで、同コンクールに対する教育現場での反応も年々大きくなっているのだという。

文部科学省 教科調査官 上野耕史氏

そして、全日本中学校技術・家庭科研究会会長の長南裕志氏は、「今日一日、大会を終えたみなさんのなかには、"なにかを成し遂げた"という気持ちがあったと思います。その気持ちは今後、なにかの困難を乗り越えるときの力になります。その気持ちを忘れずに大事にして欲しい」と、大会を通して参加者たちが得たものの価値、大切さを説明していた。

全日本中学校技術・家庭科研究会会長 長南裕志氏

同コンクールは来年度も開催され、個人参加であれば自宅からインターネット経由で参加することもできる。"我こそは"と思う方は、気軽にチャレンジしてみると良いだろう。まずはお試しということで、毎日パソコン入力コンクールのホームページから、各部門の練習用ソフトをダウンロードすることもできる。

当日の会場でも練習に余念がない子供たち。日々の積み重ねが重要だ