基調講演では、Benioff氏と技術担当のExecutive Vice Presidentを務めるParker Harris氏によって、Salesforce Chatterのデモンストレーションが行われた。
Salesforce Chatterに対応している同社のアプリケーションの個人ページには、画面上部に「chatter」という欄が設けられている。そして、ユーザー個人の情報が表示される「Profile」があり、その人の顔写真とともに、行われた会話、フォローしている人々などを閲覧することができる。
Benioff氏は同アプリケーションの特徴として、"アプリケーションが話しかけてくる"ことを紹介した。"アプリケーションが話す"とは、どういう意味か?
フィードでは、人々の会話に加えて、ユーザーに関連があるコンテンツやアプリケーションに関する情報がリアルタイムで更新されるのだ。デモでは、CEOを務めるBenioff氏のフィードということで、OracleやSAPに関連した情報が更新される様子が披露された。また、Twitterからも、関連したつぶやきの情報が更新される。
もともとFacebookにアカウントを持っていれば、その情報をSalesforce Chatterに引っ張ってくることも可能だ。また、同社の他のアプリケーションと同様に、モバイルデバイスでも同アプリケーションの利用はサポートされる。
Benioff氏は、「Salesforce Chatterは同社の信頼性の高いプラットフォーム上で構築されているためセキュリティは万全」と、企業利用を前提とした同アプリケーションの安全性を強調した。同氏によると、同社は顧客の意見を取り入れながらセキュリティの強化に取り組んできており、今年は99.9%とこれまでで最高の信頼性を達成したという。
企業がクラウドコンピューティングを検討する際の最大の懸念事項とも言えるのがセキュリティであり、同社としてもセキュリティの標準「ISO 27001」を取得するなど、セキュリティへの取り組みをより強化しているようだ。
また、ゲストスピーカーとして、Twitterのプロダクト・ディレクターを務めるJason Goldman氏も登場した。同氏は「現在、Twitterは企業でも使われ始めているが、5年後はもっとオンラインで考え方をシェアすることが増えるだろう。そのように増えていくコンテンツを簡単かつ瞬時に見せたり、検索したりすることを可能にするのが、Twitterのミッション」と述べた。
基調講演の後に実施された記者会見では、「Salesforce Chatterは企業にビジネスプロセスの変更を強いることになるのではないか」という質問が出た。これに対し、Benioff氏は「Salesforce Chatterはすでに企業内で行われていることを記録するものだが、そもそも現在の企業では自社で発生した出来事を記録していない。したがって、Salesforce Chatterは今までやっていなかったことを新たに行うわけで、ビジネスプロセスの変更は不要」と回答。
「クラウドを用いて、このような企業向けのコラボレーションツールを提供しているのは当社だけ」と、自信を見せるBenioff氏。だが一方で、「Salesforce Chatterは未知の世界であり、これから作りこんでいく必要がある」とも話しており、企業でどのように展開していくのかといったことも含め、これからさらに開発が進められていくようだ。
ここにきて、国内でも企業のマーケティングツールとして、Twitterの利用が進んでおり、Salesforce Chatterが日本企業においてどのように使われていくのか、興味深い。