現地時間の11月17日より、米国ロサンゼルス市のロサンゼルスコンベンションセンターでマイクロソフトのPDC(Professional Developers Confernece)が開催される。PDCは、ソフトウェア開発者をメインに据えたイベントで、内容は、クライアント向け、サーバ向けのWindowsや、各種のサーバ、言語、開発ツールなど、多岐にわたる。マイクロソフトのイベントとしては、これとは別に、ハードウェア技術者やデバイスドライバなどの開発者を対象にしたWinHEC(Windows Hardware Engineering Conference)があり、この分野は、PDCには含まれない。そういうわけで、このPDCの来場者のほとんどは、独立系のソフトウェアベンダーなどのプログラマやシステム設計関係の技術者だ。

会場となったロサンゼルスコンベンションセンター。過日、マイケルジャクソンの「お葬式」のあったステープルズ・センターの隣

会場外側には、わずかにドアのところにPDCのシールが貼ってあるのみ

昨年に続いて、今年も開催

かつて、PDCは隔年で行われていた。Windowsが毎年出るわけでもないし、それに匹敵するソフトウェアも毎年登場するというわけでもないからだ。

しかし、今年は、昨年に続いての開催となった。最大の理由は、Windows Azureだ。昨年、発表されたWindows Azureは、CTP(Community Technology Preview。ソフトウェアやシステムを出荷前の段階で開発者に提供するもの)で、この一年、試験運用が続いてきたが、データセンターの構築もメドが付き、ようやく来年、正式スタートが開始する。そのスタートに合わせて、多くの開発者に最新情報や最終仕様を提供するというのが今回の目的だ。昨年のPDCの基調講演でも、「来年のPDCで詳細は……」といった話もあり、立ち上げに時間がかかるものの、今年中には、仕様が固まるとの見方が事前にはあった。

会場入ってすぐのホールには垂れ幕などもある。最近サービスが再会されたSQL Azure(Windows Azure用のSQLデータベースサービス)のもの。横には,「Let's talk Cloude」(クラウドを語ろう)というキャッチコピーも

そういうわけで、今回のPDCのメインテーマは、Windows Azureなのである。Azureは、簡単にいえば、Windows Azureというシステムが走っているデータセンターで、ホスティングサービスに近いものをマイクロソフト自身が提供するというもの。つまり、マイクロソフト製のクラウドシステム構築用のインフラなのである。システムは、Windows Server 2008ベースで、仮想環境を使い、Windows Azureアプリケーション(インターネットなどに提供されるサービス)を専用のデータセンターで実行する。

事前の噂としては、他社の同様なクラウド構築インフラに対抗して、仮想マシン環境のアップロードを可能にするのでは、というものがある。たとえば、Amazonが提供するシステムは、仮想マシン上のLinux環境そのもので、そこに何を入れるのかはユーザーの自由だ。これに対して、昨年発表されたAzureは、ASP.NETによるWebアプリケーションの構築に限定されていた。ただし、その分、ユーザーは、システム側のことを何も考えずに済み、Azureにアップロードしたアプリケーションは,複数仮想マシンで実行させることができるため、負荷の増大には簡単に対応できるようになっている。

経済状況のためか、質素なイベントに

今日11月16日は、開催前日にあたり、参加者の登録や、基本的な知識を提供するチュートリアルセッションが開催された。プレス向けにも、これまでの動向をまとめた説明会が行われている。

会場は、昨年と同じだが、昨今の経済事情を反映してか、緊縮的なイベントになっている。まず、会場は同じところだが、飾り付けが少し質素だ。会場外側には、ドアのところにPDCのシールが貼ってある程度。また、昨年のPDCは、Windows 7やSDKが入ったポータブルハードディスクが配られたのだが、今年はなし。イベントの資料などを入れる鞄も不織布の質素なもので、オマケのようにプラスティック製のボトル(最近のカルフォルニアでは、エコ推進で、イベントで、ペットボトルに入った水の配布がなくなり、会場に冷水器が置かれるので、これを入れておくボトルが配られる)が入っているぐらい。

昨年もエコバッグのような鞄が配布されていたが、ハードディスクを配布するのだから仕方がないという感じだったが、今年は、それもなさそうなので、本当に質素なイベントになったようだ。

さて、明日17日は、基調講演がある。これは、Azureの話中心で、それ以外の話題は、2日目の基調講演となる予定だ。