InterBEEのソニーブースは、デジタルコンテンツ撮影から配信までのファイルベースでのトータルワークフローについてと、3Dコンテンツの制作に関しての展示がメインとなっている。いずれも我々が使用するというものではないが、同社では、「2010年より、家庭で視聴できる3D環境を市場に投入する」としており、3Dに関しては我々一般ユーザーにとっても全く無関係というわけではない。
会場では、同社の開発したマルチパーパスカメラ「HDC-P1」で撮影した映像をリアルタイムにスクリーンに映し出す、3Dのライブが行われている。同社の家庭での3D映像に関する取り組みについて、ブースで話を伺ってみた。
「現在弊社では、家庭用の3Dテレビの開発をしているのですが、その方式は、LとRの画像を交互に出して、それを液晶シャッターの入ったメガネをかけて見ることで、立体化するというものです。この方式自体は、従来からあるものですが、奥行き感や、視野角、長時間視聴での疲労の低減などの点で、従来よりも大きく進歩しています。
技術的な面では、まずは円偏光の採用です。光の発信の仕方が、それぞれ右回り/左回りになっており、それを特殊なフィルターを通して見ることで立体化するというもので、これにより、正面だけでなく、左右に離れた場所でも立体的に見ることが可能になります。つまり視野角が広いということです」。
また、液晶シャッター式の場合、1フレームごとにL/Rのチャンネルを切り替えてるが、従来は60フレーム(つまりL/Rのチャンネルは30フレーム)だった。それが、現在は240フレームが利用できるようになってきているため、よりフリッカーの少ない映像を楽しむことができるそうだ。
さらに、家庭に3Dが入ってくる時期を問うと、やはり「2010年からです」という回答を得た。
「現在、BDアソシエーションで、BDの3D規格を策定中です。これが固まれば、3Dのタイトルを供給できるようになります。現在、3Dの映画タイトルは、数十あり、今後さらに増える見込みです。
これらは、デジタルシネマに対応した映画館ですでに上映されています。アメリカではすでに、3Dコンテンツは、アミューズメント感覚で楽しまれています。今後、国内でもそういった流れは進んでいくでしょう。また、3D化しやすいタイトルはCGで作られているタイトルですが、それだけだと、アニメやゲームといったCGの人工的な絵のみになってしまいます。ソニーでは、ここに展示してあるカメラで撮影したリアルな絵を中継で流したいと考えています。映画館のデジタルシネマ対応により、映画だけでなく、スポーツなどのライブ中継といったコンテンツも利用可能になります。こういったデジタルシネマの3D化と、家庭の3D化とは平行して進んでいくでしょう」。
いずれにせよ、従来の3Dとは別次元の3D環境を、家庭でも楽しめる日は近いようだ。ゲームやCGによって制作された映画だけでなく、リアルな映像の3D化は、より広い層の関心を集めるだろう。