--では社内向けには。

迫間:この会社は、良い悪いは別として、Agereのほかにも、さまざまな会社を買収して規模を拡大してきました。そういった別会社から来た人たちも含めて、1つのLSIとして働いているんだ、そこで働いていることに対して誇りを感じてもらえるような雰囲気を作っていきたいですね。そうすることで、みんなが1つの方向に向かっていると思えるようになるし、1人ひとりが今まで以上の力を出せるようになると思っています。

--それこそ、設立当時のLSIロジックの社員みたいに"我々はLSIの社員だ"と1枚岩にしたいと。

迫間:それは1つの仕事として大きいとは思ってますが、バラバラに動くことも必ずしも悪いことではないと思ってるんです。各ビジネスユニットが持ってるストラテジと日本のカスタマの思惑が違う場合があるとすれば、例えば我々からストレージシステムをOEMで提供しているカスタマと、ASICを販売しているカスタマは別ですから、そこの戦略は別々でも良いと思うんです。ただ、1つの日本の、LSIロジックという会社の中で働いているという気持ちの共有と情報を共有するということは大きなことだと思いますので、ASICをやっているからストレージのことを知らなくても良い、というわけではなく、ストレージの部分はこういう仕事をしてるということを理解して、外部に出たとき、我々はこういうことをしているから、最終的にこういったことができます、というセールスマンになれるようになってもらいたいと思っています。

--そういった意味でも、先日3wareを買収して、チャネルビジネスにも本腰を入れるようになりましたし、よりLSIがどういった会社かを社内に教育していく必要があると考えている。

迫間:3wareのビジネスについては、旧3wareの部隊が色々と国内でもどうしていくかを考えていますので、これからだと思ってます。そういった意味では今、ここで具体的な話は出せないですが、LSIとして次のビジネスバンドとしてチャネルを見ており、社を上げて展開して行く方向で進めてますので、これからを期待してもらいたいと思ってます。

--2010年のLSIはチャネルに注力するということですね。

迫間氏:LSIの新しい面としてのチャレンジですよね。もちろん既存分野も軸をぶれずに次の世代の製品を出して行ければと思ってます。

--今、次の世代という話がありましたが、次世代プロセス品が出てくると思ってよいと。

迫間:2010年には我々のASICにも28nm製品が出てくる予定です。28nmプロセスの製品を使って、いかに低消費電力を実現するか、といった課題が出てきますので、性能なども含めて、どういった優位点があるのか、どうシステムを作れば低消費電力になるのかを含めてカスタマにきっちりと説明していければと考えています。

--日本法人の代表としてLSIロジックそのものをどういった方向に持っていければと思っていますか。

迫間:米国と同じ歩調を基本にしますが、日本のカスタマの多くも、今後は海外に積極的に進出していくこととなると思いますし、我々もネットワークとストレージに注力しており、カスタマにそういったソリューションを提供していくことで、彼らに成功をしてもらいたい。我々の技術はグローバルで活用されている技術です。そうした実績を、いかに"技術革新"、"リレーション"、"ソリューション"として届けられるか、そこがLSIジャパンという法人の大きなチャレンジになってくると思っています。良いものを各部署で持ってますので、それを組み合わせて提供していければ、きっとカスタマもメリットを感じてもらえると考えています。

--今、3つのテーマが出ましたが、それを社内の認識として浸透させていくのが迫間さんの役割になるということでしょうか。

迫間:社内もそうですし、社外もそうです。バラバラに動くのではなく、1つ大きなものを作って出して行きたいというのが目標であり、それができれば次のステップに行けるかな、と思ってます。

--次のステップとは。

迫間:まだ、見えてませんね(笑)。今の役に就いたばかりなので、この山を上っていく途中で見えてくるかなと。

--では、最後に、個人的な抱負を教えてください。

迫間:基本的にはコミュニケーションが一番だと思ってるんです。社内もそうですし、社外もそうです。コミュニケーションを上手くとることで、接着剤じゃないですけど、間を埋めるような仕事をして、各社員やカスタマが良い仕事をしてもらえるようにするところに自分を持っていければと思っています。それにより、他人を通してことをなす、ではありませんが、広く皆の意思を同じ方向に持っていければと思います。

--ありがとうございました。