――Google Appsは200万社以上の導入実績があるということでしたが、サービス開始当初からこれほど大きくなるものだと予想できていましたか。

企業向けのサービスは約2年前から提供していますが、当初は他のサービスと同様、実験的なプロジェクトでしかなく、ここまで劇的に成長するとは思っていませんでした。

Googleは楽観的な見方をする企業であり、「この程度利用されたらうれしいな」という根拠のない数字もあったのですが、それを大きく上回る結果です。これは、コストや時間、リソースの削減につながることが理解され、ドキュメント共有などのコラボレーション機能の利便性が認められた結果と言えるのではないでしょうか。

もっとも、こうした急成長の要因としては、市場自体が急速に拡大していることも挙げられると思います。これについては、クラウドコンピューティングといった概念が浸透しはじめていることからもわかりますよね。

――一般的なベンダーは、製品リリースと同時に盛大なプロモーションをかけることが多いですが、Googleはそれとは違ったマーケティング手法をとっているように思います。基本的な方針について教えていただけますか。

Googleのビジネスは、製品/サービスからスタートします。実験的にリリースし、市場の反応を見て、市場が該当製品/サービスを受け入れる準備が整っているのかを確かめる作業を行います。

今回のGoogle Appsに関して言えば、導入企業が急激に増え、FORTUNE 100に入るような企業にも次々と採用されていることから、市場の受け入れ準備は整っていて、サービスの品質にも問題ないことがわかります。そのあたりを確認した後で、「ではこのビジネスを推進していこう」となるわけです。

そうしたビジネスの推進とは別の作業としてマーケティングも行っていくわけですが、私はマーケティングとはトレンドを増幅させるものだと考えています。製品/サービスと市場の関係を見極め、利用者に対する利点を強調し、効果的に利用してもらえるよう教育していく、そういった活動がマーケティングだと思っています。

したがって、他社と違うように見えるのは、どちらかと言うと、ビジネスのスタート方法が違うからなのかもしれませんね。

――では、Google Appsではどういった点を強調しているのか、改めて教えてください。

Google Appsの利便性として真っ先に挙げられるのがコラボレーション性です。さまざまなドキュメントを簡単かつリアルタイムに共有できる点は、Web上で展開するサービスならではのメリットでしょう。

また、システム管理の手間やコストを大きく削減できる点も大きなポイントの1つです。削減したリソースを本来の事業に振り分けられるため、利用者はビジネスに集中できる環境を手に入れることができます。

そして、研究開発費が不要というメリットもあります。当社で相当な費用と年月をかけて開発してきたものを提供していますし、新たな機能も随時取り込まれていくので、定額の費料で常に先進的な環境を利用することができます。

経営者の皆さんには、ぜひ検討をお願いしたいですね。