10月19日にKDDIが、11月10日にソフトバンクモバイルとNTTドコモが、それぞれ"冬春"の新商品、新サービスを発表した。従来は"秋冬"と"春"に発表が分かれていたが、1年前にドコモがこの慣習を変更。秋、冬、春と3シーズンにまたがる形で、情報を出していくようになった。今年はこのスタイルを、KDDIとソフトバンクが踏襲した格好だ。約半年先に発売する、スペックすら固まっていない端末まで発表してしまう姿勢に正直疑問を感じるが、逆に春までの購入計画を立てやすいという側面もある。そこで、3社の発表から見えてくる考え方や、その中核を担う注目端末、新たに加わるサービスなどを、改めて振り返っていきたい。
ハイエンドとローエンドの住み分けを徹底したau
auの冬春端末のテーマは主に4つ。「選べる高画質カメラ」「映像」「選べるスリム&コンパクト」「エルダー・ジュニア」だ。1つ目のテーマであるカメラに対しては5機種を用意。1200万画素オーバーの「EXILIMケータイ CA003」「AQUOS SHOT SH003」「AQUOS SHOT SH006」に加え、800万画素クラスの「SH004」や「EXILIMケータイ CA004」がラインナップにされている。前者は最先端のデバイスを搭載し、CA003は「超解像ズーム」や「高速連写」が、SH003はタッチ操作や「超高感度撮影」を得意とするなど、特徴付けも明確だ。SH006はSH003の機能にWi-Fiが加わることで、写真のアップロードがさらに快適になっている。
一方のSH004やCA003は、コストを追求。これらの機種のベースは約1年前の「W63CA」「SH001」で、元々がハイエンド端末だったためスペックこそ高いが、非対応な機能も多い。とはいえ、その分コストは徹底して抑えられており、売れ筋に食い込む可能性もある。また、春ごろにはSH006が登場し、SH003やCA003の価格がこなれてくるため、「結果として春商戦でも幅広い価格レンジで戦える」(KDDI関係者)という状況になりそうだ。
また、映像にこだわった端末として、「BRAVIA Phone U1」を発表。IPX5/7相当の防水性能で、ソニーのブルーレイディスクレコーダーとの連携が可能となる。これまで手薄だった薄型・コンパクト端末も拡充した。セコムと連動した「mamorino」も、面白い試みといえる。
このようにトータルでラインナップを見渡すと、夏モデルのような強い個性がなりをひそめている印象を受ける。一部の端末は悪くいえば焼き直しで、新鮮味に欠ける向きもあるかもしれない。ただ、端末の質感向上や機能強化は堅実に行っており、冬春商戦で"実を取りにいく"方針は明確だ。「ガンガンメール」の投入などもプラスに働くだろう。音楽や映像に電子書籍を加えた「LISMOの再定義」も、今後の進展に注目したい。
au新機種一覧