日銀が12日発表した10月の国内企業物価指数(速報、2005年平均=100)は前年同月比マイナス6.7%の102.2だった。10カ月連続の前年比マイナスとなるが、7、8月のマイナス8.5%を最大に下落幅は2カ月連続で縮小した。前月比はマイナス0.7%。

企業物価指数は、企業間で取引される財の物価の変動を示すもので、景気動向や金融政策の判断材料を提供する目的がある。国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数から構成されている。

国内市場向け国内生産品を対象にした「国内企業物価指数」が前年水準を下回るのは今年1月から。7、8月のマイナス8.5%まで下落幅は拡大を続けていたが、9月(マイナス8.0)に続き下落幅は縮小。原油が高騰した昨年との比較で「石油・石炭製品」が全体の指数を大きく押し下げていたが、8月マイナス42.7、9月マイナス38.0、10月マイナス26.6と、下落幅が縮小。これが全体の下落幅縮小に大きく寄与している形だ。日本銀行調査統計局では「11、12月も下落幅が縮小する可能性は高い」としている。

ほかに前年同月比で下落幅が大きかったのは「鉄鋼」(マイナス20.3%)、「非鉄金属」(マイナス9.8%)や「化学製品」(マイナス9.2%)など。「窯業・土石製品」はプラス2.0と、前年比で唯一上昇した項目となった。

前月比でのマイナスへの寄与度が高かったのは「電力・都市ガス・水道」、「鉄鋼」、「輸送用機器」など。「雑誌の売れ行き不調に加え、紙代の値下げの影響」(日本銀行調査統計局の担当者)もあり、平版印刷物を含む「その他工業製品」もマイナスに寄与している。

輸出物価指数(円ベース)は87.4で、前年同月比でマイナス7.7%、前月比でマイナス0.9%だった。一方、輸入物価指数(円ベース)は99.6で、前年同月比マイナス23.4、前月比でマイナス1.0%。契約通貨ベースでは輸出物価指数が前年同月比マイナス2.2%、輸入物価指数が同マイナス17.3%とそれぞれ下がっている。