既報の通りNTTドコモは10日、2009年冬~10年春にかけての携帯電話端末の新製品と新サービスを発表した。山田隆持社長は、「ドコモは5,500万の(ユーザーの)満足度向上のため、さまざまなことにチャレンジしていく」と意気込む。
新端末に伴って提供される新サービスの目玉はGPSの機能拡張「オートGPS」だ。通常携帯電話のGPS機能は、アプリなどから現在地を確認して利用されるが、オートGPSではアプリで一度GPSを起動すると、その後はアプリが終了しても継続して現在地を取得し続け、その位置情報をもとにさまざまなサービスを提供するというものだ。
たとえばこれを利用した「iコンシェル」では、新たな機能として「オートGPSインフォメーション」、「オートGPSリマインド」、「終電アラーム」、「ご当地マチキャラパスポート」、「オートGPS気象情報/地震情報」、「駐車場満空情報」の6つの機能を追加。
オートGPSインフォメーションは、位置情報とコンテンツプロバイダ(CP)からの情報をマッチングさせ、その位置に合わせた情報を提供する。全日空と日本航空は、空港に近づくと搭乗ゲートや便名、座席番号などを配信し、目的地の空港に着くとその土地の情報を配信するサービスを提供する。そのほか、グルメ案内、飲食店など、さまざまな企業が情報を提供する。
オートGPSリマインドは、たとえばテレビで放映されたレストランを登録しておき、その場所に近づいたときに知らせるようにしたり、買い物リストを登録し、自宅の最寄りのスーパーを登録しておけば、買い物を忘れずにすむ、といった使い方ができる。URLをクリックするだけでリマインドは登録できるため、メール添付して家族に買い物を依頼したり、レストランが携帯サイトにリンクを張って来店を促すといったことが可能。URLの仕様は公開する予定だ。終電アラームは、現在地に近い駅から自宅までの終電時間を知らせてくれるほか、乗り遅れた場合は近くの営業中の店も知らせてくれる。
このオートGPSは、アプリを終了しても5分間隔で常に現在位置を取得して情報を配信してくれるのが特徴。50mの移動がないと現在位置取得を一時停止するなど、電池消費にも配慮した。
常に現在位置を把握するサービスのため、iコンシェルと公式CPによるiアプリでしかアクセスできない機能で、また子どもの見守りなど他人の現在位置を取得することはできない。iアプリとしては、「地図アプリ」で東京ディズニーリゾートの情報配信に加え、乗り換え案内や天気予報などのアプリがリリースされる。
もう1つの新サービスは、「マイエリア」だ。これは、超小型の基地局「フェムトセル」を使い、自宅内に基地局を設置し、自宅内のFOMAエリア内でサービスを提供するというもの。フェムトセルからの通信は自宅のブロードバンド回線を使い、ドコモの回線を占有しないため大容量コンテンツの配信などが可能。マイエリア登録者向けの専用動画や音楽コンテンツも提供する。
マイエリア内からの出入りは、「イマスカ機能」によって設定した相手に通知できる。子どもが帰宅したり出かけた場合に通知を送るといったことが可能だ。マイエリアを利用するには、マルチセッション機能を持つブロードバンド回線が必要で、「現時点ではBフレッツのみが対応している」(山田隆持社長)ため、それ以外の回線では利用できない。逆に回線事業者がマルチセッションに対応したらサービスを利用できるという。今年度中に2万回線が目標だという。
フェムトセルによって帯域が削減できるとともに、イマスカ機能による通知機能をアピールしていくと山田社長。「家電との連携もゆくゆくは狙っている」そうだ。
なお、同日に開催されたソフトバンクモバイルの新製品発表会で、ソフトバンクの孫正義社長は無線LAN機能を強力にアピールし、「これからの携帯は無線LAN搭載が当然になる」と主張した。その後の会見で山田社長は、「基本的には3Gのバージョンアップで戦いたい」と話し、あくまで無線LANは「補完的に使う」との考えを示している。