『SAPのBI活用術(1) - 営業に変革をもたらした「経験則のモデル化」』では、SAPが同社のBI製品「SAP BusinessObjects」を自ら活用して、営業活動の効率化を遂げた事例を紹介した。
では、そこで活用されたSAP BusinessObjectsにはどのような機能が用意されているのか。ここでは、同製品の事業開発マネージャを努める坂本環氏に、BI製品の必要性なども交えながら、その概要を紹介してもらう。
執筆者紹介
坂本 環(Tamaki Sakamoto)
- SAP ジャパン ビジネスインテリジェンスプラットフォーム 日本担当 事業開発マネージャ
1999年SAPジャパン入社。SAPシステム管理コンサルタントの認定取得後、約2年間インストラクターとして数々の技術系コースを担当。その後、2002年よりお客様により近い立場でSAPソリューション提案を行うため、プリセールスに従事。NetWeaver担当、医薬品業界担当、など幅広い経験を積む。現在は、SAP BusinessObjectsソリューションの市場開発を担うグローバルチームに日本担当として籍を置き、国内での新ソリューションの普及、マーケティング活動などを行っている。
ビジネス現場での情報活用の実態
多くのビジネスユーザーは日々の業務を遂行する中で、大小の差はあるものの、常に何かしらの「情報」に基づき「判断/意思決定」を行っている、と言っても過言ではありません。それが時には、過去に基づく経験値や直感であったり、誰かにメールや電話で尋ねたり、あるいは綿密なデータ分析に基づく統計的な数値であったり…、そのレベルはさまざまかと思います。
分析を専門とする一部の担当者はさておき、日々めまぐるしく状況が変化しスピーディーな判断を求められる現場においては、情報確認だけのために大量の時間と労力を費やすわけにもいかず、本来は正確なデータを確認したいがやむを得ず「勘頼み」になっている、ということがあるのではないでしょうか。
こうした現実を裏付ける情報として、必要な情報が提供されていないと感じているにもかかわらず、実際のBIツール利用率は全体の5%にも達していない、というある調査会社の報告もあります。つまり、BIツールはあるけれど使っていない、ということです。原因としては、用途が分からない、ツールが難しい、パフォーマンスが悪い、などのことが考えられます。
余談になりますが、「BIを使いこなせていない状況」とはどういうことか、我が身を振り返れば容易に想像ができました。
現在、日本におけるBIP(ビジネスインテリジェンスプラットフォーム)エリアの事業開発を担当させていただいている私にとっては、日本のお客様のSAP NetWeaver BW(SAP NetWeaver Business Warehouse)ならびにSAP BusinessObjects製品のご利用状況等について全体的な傾向を捉えたい、またいろいろな切り口でデータを取得したい、と思うことがたびたびあります。
そして、それらの大部分は社内のSAP CRM(SAP Customer Relationship Management)とSAP NetWeaver BWにある、とわかっているのですが、どう取り出して良いかわからない、巨大なレポートへアクセスしても必要なデータにたどり着けないのであきらめる、どこかで誰かが作成したリストをかき集めてはMicrosoft Excelの加工に何時間も費やす…。恥ずかしながら私ども自身も「現場での情報活用」という点でまだまだ改善の余地があります。この記事を読んでいる皆様も日頃の情報活用について振り返っていただくと、同じような思いが少なからずあるのではないでしょうか。
多くの企業で当然のように業務アプリケーションが稼動し、大量の情報がどこかのデータベースに蓄積されている今、せっかくの情報を最大限に生かし、企業にとって利益の源泉へと価値を増大させるために、どういった仕組みが必要なのでしょうか。ツールですべてが解決するとは言えませんが、まず初めの一歩としてぜひご紹介したいソリューションについて、今回はフォーカスします。「誰でも気軽に使いこなせるBI」として発表させていただいた、SAP BusinessObjects Explorerです。