デジタルコミュニケーションを一般企業に

――世界のなかで、日本人のデジタルコミュニケーション能力は高い方と言っていいのでしょうか。

杉山「コンテンツ産業に身を置く人たちのレベルは上がってきていると思います。しかし、一般の企業に目を向けるとまだまだといったレベルではないかと。世界と比べても、まだ、物凄く伸び白があるといえるのではないでしょうか。これまでデジタルハリウッドでは、どちらかというとクリエイターの方々にフォーカスをした講義を行ってきましたが、これからは、そうしたクリエイターたちに仕事を発注する側の方々にもデジタルコミュニケーションの知識を身につけてもらう必要があると考えています。例えばひとつのプロモーションを仕掛けるときに、現状ではパソコン用のWebページと携帯電話で仕掛けますよね。最近では従来の携帯電話に加え、iPhoneやAndroidにも対応しつつあります。また地上デジタル放送へも仕掛けていますが、この場合は映像だけではなく、文字情報も扱うことができるのが特徴ですね。ほかにも、当然ながら街頭でのイベントなども仕掛けていきます。もしかしたら、今後はセカイカメラのような仕組みを使って、リアルとデジタル情報を絡めたプロモーション方法が出てくるかもしれません。このようにテクノロジーは、どんどん進化していきます。これらをすべて結びつけながらプロモーションをプロデュースできる人材が出たら凄いと思うんです」

――これからはクリエイターだけでなく、発注する側の教育にも本腰を入れるということですね。

杉山「そうです。そうしないと、コンテンツ業界で生きていけなくなります。クリエイターが携わる仕事を増やし、企業の業績を上げるといった目に見える形で実績を積んでいかなければいけません。そうしないと、この道で頑張ってきたクリエイターの給料が上がらないんです。才能があって、この時代に合ったスキルを持っていながら、給料が高くないのは、ミスマッチングだと思います」