レノボ・ジャパンが10月27日、プレス向けの技術説明会を開催し、同社独自のWindows 7高速化技術である「Windows 7 Lenovo Enhanced Experience」の詳細な解説を行なった。開発担当者から直接、同技術の具体的な部分が語られている。その内容をレポートしておきたい。

レノボ・ジャパン 研究開発 TVT・ノートブック ソフトウェア開発担当/開発部長の麻生純一氏。「Windows 7 Lenovo Enhanced Experience」の開発を担当

日本の大和事業所を中心に、世界中のレノボ開発拠点と連携。Enhanced Experienceは、レドモンドのMicrosoftとの共同作業が行なわれている

Windows 7 Lenovo Enhanced Experience(以下Enhanced Experience)は、Windows 7用にBIOS/ドライバ等を最適化することで、起動やシャットダウンに要する時間の短縮などを実現している。上記のような分かりやすい高速化以外にも、包括的に機能を備えており、Windows 7搭載PCに対して同社が開発した最適化技術の総称という位置付けがされている。

動画
同社ユーザーイベント(イベントレポートはこちら)で披露された実機デモの様子。Enhanced Experience搭載PCではBIOSの起動も速い
(WMV形式 49秒 1.71MB)

なお、Enhanced Experienceは、ThinkPad/ThinkCentre/ThinkStationのほぼ全モデルと、IdeaPadのY/Uシリーズに搭載されるが、例えばThinkPadシリーズとIdeaPadシリーズでは実装の内容に違いがある。その上で、ThinkPadシリーズにおけるEnhanced Experienceの実装機能は、主に「(1)パフォーマンスの向上」「(2)新機能のサポート」「(3)ThinkVantageソフトウェアの最適化」の3点に分類される。

Enhanced Experienceの実装機能について、詳細を解説する研究開発 TVT・ノートブック ソフトウェア開発 第三TVT開発/Windows 7・プロジェクトマネージャーの柴谷淳治氏

Enhanced Experienceは、例えばThinkPadシリーズとIdeaPadシリーズでは実装の内容に違いがある。起動/シャットダウンの高速化については同様に実現

まずパフォーマンスの最適化について。起動時間、シャットダウン時間の高速化がこの項目の機能にあたる。レノボのパフォーマンス解析をもとに、Microsoft社、レノボ社内のBIOS、ThinkVantageソフトウェア開発チーム、ThinkPadのデバイス・ドライバ提供メーカーらと連携した共同エンジニアリングによって開発が行なわれている。

解析の一部が例として紹介された。起動やシャットダウンの際、遅延要因となるプロセスを洗い出し、プロセスやコードを効率化したりしている。渋滞整理のようなイメージだろうか

ここでは、オーバーヘッドの大きいソフトウェア・コンポーネントを切り分け、その中のモジュール単位での実行時間の計測、待ち時間を作っている部分のロジックの改善などが試みられており、最適な処理時間が達成できるよう、ソフトウェア・コードへの変更が施されている。

パフォーマンス向上の例。スリープやレジューム時間も短縮できている

結果、起動時間のほか、シャットダウン、スリープ、レジュームに要する時間の短縮にも成功。さらに、"素"の状態のWindows 7比での改善のみならず、"身軽"なWindows XPと比較した場合においても、起動時間やシャットダウン時間の高速化が実現しているというデータも示された。

同一ハードウェアに異なるOSを搭載して実測した起動/シャットダウン時間のベンチマーク。Enhanced Experienceを適用したWin 7が圧倒的に速い。なお、XPよりVistaが速いのは、VistaにもEnhanced Experienceの開発過程でのフィードバックが実施されていたためだそうだ

こんどはもう少しわかりやすく、同一ハードウェアで、Windows 7のEnhanced Experience適用前と適用後の起動/シャットダウン時間のベンチマーク。もともと高速なWindows 7だが、さらなる高速化に成功していることがわかる

論より証拠ということで、Enhanced Experience適用前と適用後の動作について、高速化を証明する比較ライブデモも披露された