シャープは2日、同社の高濃度プラズマクラスターイオンが、付着・浮遊の両方の状態の「新型H1N1インフルエンザウイルス(以下、新型ウイルス)」の感染力を抑えることを実証したと発表した。今回の実証は、ロンドン大学のジョン・オックスフォード教授が設立したレトロスクリーン・バイロロジーと共同で行った。

同社のプラズマクラスター技術を採用したプラズマクラスターイオン発生機「IG-B20」

同社によると今回、プラズマクラスターイオンが、付着新型ウイルス(シャーレに滴下)を2時間で99.9%抑制(イオン濃度約30万個/cm3)することを実証。また、浮遊新型ウイルス(容積1m3ボックス内に浮遊)に関しても、40分で95%抑制(イオン濃度約2万5千個/cm3)することを実証したという。

同社では、2000年より世界の学術研究機関と連携し、プラズマクラスター技術が空気中に浮遊するMRSAなど28種類の有害微生物の活動を抑制する効果があることを実証してきており、「空気のあるところ全てをプラズマクラスター空間に」をコンセプトに事業を展開している。

プラズマクラスターイオン発生のしくみ

今回の実証について、ジョン・オックスフォード教授は、「新型インフルエンザウイルスは呼吸による感染か付着による感染のいずれかの方法で人に感染します。この2つの感染経路でプラズマクラスター技術の効果を確認しました。ウイルスの脅威に対してマスクや手洗いといった従来の防衛策に加え、プラズマクラスターは新たな技術的防衛策のひとつとなると考えています」としている。

インフルエンザウイルスの構造

ウイルス抑制のメカニズム

付着ウイルスに対する検証結果

浮遊ウイルスに対する検証結果

なお、新型ウイルス抑制効果の技術発表は、三洋電機ダイキン工業パナソニック電工が既に行っており、「付着だけではなく、浮遊ウイルスの抑制効果まで検証することに時間を費やした」(シャープ 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 デバイス開発部長 深田辰雄氏)としていた。

これまで、季節性H1N1型ヒトインフルエンザ/H5N1型トリインフルエンザ/コロナ/SARS/ポリオ/コクサッキーなどに対する、プラズマクラスターイオンの効果を確認している