機能面では、新搭載した「クロスプロセスモード」に注目したい。クロスプロセスとは、フィルム現像の際に通常とは異なる処理を与え、露出やカラーバランスを意図的に崩す現像テクニックのこと。K-xのクロスプロセスモードでは、彩度やコントラスト、トーンカーブなどの設定がランダムに変更され、エフェクトを加えたような極端な色合いの画像を得られる。しかも、撮影のたびに発色や効果の度合いは異なり、撮ってみるまで結果は分からない。出たとこ勝負の偶然性が楽しい機能である。
任意のエフェクトを加える「デジタルフィルター」機能は、従来よりも効果の種類が豊富になった。撮影時には、周辺光量を下げる「トイカメラ」や魚眼風の歪みを演出する「フィッシュアイ」など8種類を、撮影後には、イラストタッチに仕上げる「水彩画」やジオラマ風に加工する「ミニチュア」など16種類をそれぞれ選択できる。
さらに上位機「K-7」から継承した機能として、標準/アンダー/オーバーの3コマを自動合成して広階調の画像を得る「HDR合成」や、シーンの色を強調する方向にホワイトバランスを調整する「CTEモード」、彩度を控えめに表現するカスタムイメージの「ほのか」を搭載する。また、レンズのディストーションと倍率色収差の補正、ダイナミックレンジ拡大、多重露出にも対応する。
デジタルフィルターの設定画面。「カスタム」では各種のフィルター効果を細かく調整して適用できる |
カスタムイメージの設定画面。「鮮やか」や「雅(MIYABI)」「ほのか」など7種類を選択でき、それぞれの微調整も可能 |
このようにエントリー機としては少々ぜいたくに思えるくらい作画機能が充実している。あまりに多彩すぎて、どの設定を選ぶべきか迷うことさえある。RAWモードで撮り、後からカメラ内または付属ソフトで、じっくりと発色や効果を調整してRAW現像するのもいいだろう。
ボディ上部に新設したグリーンボタンには、カスタムイメージなどの機能を割り当てることができる |
INFOボタンを押すと、この画面(コントロールパネル)が表示され、手ブレ補正やクロスプロセスなどの機能にアクセスできる |
カメラ内でのRAW現像時には、記録サイズや圧縮率のほか、発色傾向を切り替える「カスタムイメージ」やホワイトバランス、感度の増減感、ノイズリダクション、シャドー補正、レンズ収差補正などを適用できる。また撮影直後であれば、JPEGの画質を劣化させずに、ホワイトバランスとカスタムイメージの設定を変更し、新規保存することも可能だ。…つづきを読む