既報の通り、NTTドコモの2010年3月期の上期(4-9月)連結決算(米国会計基準)は、売上高にあたる営業収益が前年同期比5.4%減、営業利益は同15.9%減の減収減益だった。同社社長の山田隆持氏は、現状打開に向け、「パケットARPUを何としても上げたい」と述べた。
営業収益は前年同期比5.4%減の2兆1,458億円、営業利益は同15.9%減の4,852億円だった。端末販売台数や音声収入が減少したことなどが響いた。端末販売台数は前年同期比14.2%減の881万台となり、同社では667億円の減益要因としている。また、1契約当たりの月額通信料(ARPU)は、音声ARPUが前年同期比520円減の2,990円となり、音声収入の減少は1,471億円の減益要因となった。
同社では、上期減収という結果を受け、2010年3月期通期の営業収益(売上高)の予想を、当初の4兆3,820億円から1,060億円下方修正し、4兆2,760億円とした。端末販売台数についても、2010年3月期通期の端末総販売台数の予想を、当初の1,970万台から1,820万台に下方修正した。営業利益は、当初予想の8,300億円を据え置いた。
1契約当たりの月額通信料(ARPU)に関しては、音声ARPUが大幅に減少したのに対し、パケットARPUは、同80円増の2,440円だった。同社では、パケット収入の増加を、414億円の増益要因としている。同社は総合ARPUの通期予想について、当初予想の5,280円から5,300円に上方修正した。
上期の純増シェアは27.3%、解約率は0.45%だった。端末のラインナップにおいては、「docomo PRO series」「docomo SMART series」「docomo PRIME series」「docomo STYLE series」の新シリーズの累計販売台数が、2009年9月末で1,000万台を突破した。
経営効率化の面では、2007年度と比較して1,300億円のコスト削減を見込んでいる。
同社社長の山田隆持氏は、東京都内で開かれた決算発表会において、中期ビジョンについて、「パケットARPUを何としても上げたい。音声ARPUは落ちざるを得ないが、定額制に入ってもらって、いろんなコンテンツを見てもらいたい」と述べた。
今後の取組みについては、動画サービスや「iコンシェル」などのサービスに引き続き注力していく方針を強調。家庭向けの基地局である「フェムトセル」については、11月中旬以降に提供を開始する方針を明らかにした。山田氏は、フェムトセルの提供方法について、売り切りではなく、レンタル方式での提供であると述べた上で、「2009年度には2万、2012年には100万基地局の提供を見込んでいる」と話した。レンタル料金については、「11月10日の新商品発表会で発表したい」と述べた。
また山田社長は、スマートフォン「T-01A」(東芝製)のOSを、「Windows Mobile 6.5」にバージョンアップするアップデートソフトを、12月に配布することも明らかにした。
上期大きく減少した端末販売を今後どのように行っていくかに関しては、「新たなサービスを行うには新端末でなければできないものもあり、引き続き端末と(新サービス)の連動を行っていきたい。(そのためにも)魅力ある端末を作って、(端末販売の)減少幅を減らしていきたい」と、今後も積極的に新端末を販売していくことを明らかにした。
30日に開始された総務省のタスクフォースにおいて、NTTドコモとしてどのようなことを主張していくかについての質問には、「電気通信・情報通信の技術の進化の早さとユーザーのニーズの多様化を考慮し、(1)ユーザーの利便性の向上、(2)グローバル市場の重要性、の2点を念頭において、議論を行っていきたい」と話した。
固定通信と移動通信の融合の流れが強まっていることについては、「できる部分があればやっていくし、できない部分があれば考慮してほしいが、(組織論として)固定と移動が元のように戻るべきだとは思っていない」と回答した。
今後の携帯電話業界の見通しについては、「現政権は内需拡大に舵(かじ)をきっているようだが、内需拡大をやってもらえると、携帯電話を買うといった行動に結びつきやすいのではないか」と述べ、期待を示していた。