サンガードはこのほど、金融業界関係者や企業の財務部門関係者を対象としたセミナーイベント「WHAT HAPPENS NEXT?」を開催した。基調講演にはジャーナリストの田原総一朗氏が登場。田原氏は日本経済の展望について、環境分野における日本企業の高い技術に大きな期待感を示し、「『環境時代』は日本にとって絶好の追い風。前途は明るい」と述べた。

ジャーナリストの田原総一朗氏

民主党の概算要求が膨れ上がってしまう理由とは……

「世界金融危機後の日本経済の展望」をテーマに話した田原氏は冒頭「これからの経済に非常に関係が深いところ」として概算要求で95兆円超に膨れ上がった2010年度予算案についてふれ、「(さらに)年末に出てくるであろうお金を足すと97兆を超す」と予想。「予算の無駄を省く」と選挙中繰り返していた民主党でもむしろ予算額が増大していることについて田原氏は「自民党の大臣は(省庁を)まったくチェックしなかった、民主党はチェックしようとしてもできない。(機構が)あまりにも大きくあまりにも細かくなりすぎて大臣にチェックできないシステムになっている」と指摘。そうなった原因として橋本龍太郎元首相時代の行政改革を挙げ、「省庁の数を減らすということはそれぞれの省庁が合併して大きくなるということ。これが役人の狙い。これ以後厚生労働省、総務省などではチェックができない状態になった」と述べた。

「環境」こそ日本の強み

講演の前半では政治について辛らつな口調で論じた田原氏だが、日本経済の今後については「前途は明るい」と断言。その理由として、アメリカのオバマ大統領が風力、太陽光発電分野へも重点投資する姿勢を示すなど「環境時代」を迎えたことを挙げ、「『環境』は日本にとって絶好の追い風」と表現した。田原氏が特に期待感を寄せたのは電池の技術で「太陽エネルギーには太陽電池が必要となるが、太陽電池は世界で日本が一番進んでいる。また車も遠からず電気自動車になり、電池が必要になる」と述べた。日本企業の技術が世界をリードしているものとして、ほかに風力発電に必要な風車、原子力発電の原子炉なども挙げ、日本企業の環境技術の高さを評価し、その将来性に期待した。

「10年以内にはアジアの時代」

最後に田原氏が述べたのは世界経済の今後。「これからのアメリカはたいしたことはない。伸びるのはアジア。特に中国とインド。10年以内にアジアの時代となる」と予測。「日本はアジアという第三極をつくるため大いに働かなければならない」と述べた上で現状について「残念ながら日本の企業は非常に臆病」と指摘した。一方中国については「内需拡大で伸びているかというとそうではない。アジアにどんどん進出しているからだ」と評価。田原氏によると日本のJICAが長年かけて調査しようやく7地域で水力発電所を建設できることになったものの6カ所は中国、1カ所は韓国が建設することになり、日本の企業による建設はゼロに終わったという。田原氏は聴衆に向かって「みなさんももっと企業を刺激してください。刺激すれば日本はアジアというマーケットにどんどん出ていくチャンスがある」と檄を飛ばし、講演を締めくくった。