日産自動車が今回のモーターショーでのテーマとしている"ゼロ・エミッション"とは、1995年に国連大学が提唱した資源の使用効率を高めて廃棄物を無くすというもの。その"ゼロ・エミッション"構想に準じたエコなラインアップとなった。
前後二人乗りの「ランドグライダー」
今回、世界初出展として注目を浴びていたのが、軽自動車よりもスリムでコンパクトな形状のタンデム2シーター「ランドグライダー」だ。駐車スペースや狭い道路など、都市部のカーライフに新たな提案をする1台となっている。
全長3,100mm、全幅1,100mmと極めてスリムに設計されたボディ。2名乗車時は、バイクのように縦に配列したシートに座ることになる。フロントシートは4点式シートベルト。ステアリングは丸いハンドルではなく、"グライダー"の名の通り操縦桿のようなスタイルだ。通常のクルマの場合、コーナーリング中は横Gがかかってアウト側に傾くが、ランドグライダーはバイクのように内側に傾いて走行する。それにより、狭いトレッドでも安定したコーナリングができるという。最大傾斜角は17度で、走行速度や舵角、ヨー率を自動的に計算して傾斜する。
ランドグライダーは非接触型充電システムを採用。このシステムが普及すれば、レストランやスーパーの駐車場に止めている間に充電が完了してしまうといった高い利便性が期待される。フロントウインドー下部には充電口もある。
独創的な形状が特徴の「ランドグライダー」。全幅は1,100mmとスリム |
ドアミラーはなく、コックピット内のモニターに、カメラの映像が映し出される仕組み |
ホイールベースは2,180mm。駆動用モーターは、後輪の左右にそれぞれ配置される |
2010年後半に世界で販売。市販を視野に入れた「リーフ」
「リーフ」は電気のみで走行する純粋な電気自動車だ。家庭でも充電が可能で、満充電で160km以上の走行(市街地モード)も可能となっている。充電はエアコンなどで使われる200Vで約8時間。急速充電器があるショッピングモールなどでは、10分の充電で約50km、20分で約100kmの走行が可能だという。つまり、買い物に10分かかるなら、50キロ離れた場所にでも行けることになる。
リーフに搭載されるEV専用リチウムイオンバッテリーは、ラミネート構造のセルを4枚収納したものを48個搭載する。大容量ながらコンパクトなリチウムイオンバッテリーを床下形状に合わせて配置するため、広い室内空間を確保している。バッテリー出力は90kW超で、モーターは80kW/280N・mを発揮。価格面でも、同クラスのガソリン車と競争できる価格まで抑えることを目標としている。
「リーフ」。ヘッドランプはLEDを採用し、消費電力を約50%抑えているという |
バッテリーを床下に配置し、大人5人が乗っても快適な室内空間を作っている。ホイールベースは2700mm |
5ドアハッチバックで、ラゲッジ容量も実用的サイズを確保 |
コンパクトなスポーツSUV「QAZANA」
今年3月に行われたジュネーブのモーターショーでワールドプレミアを飾った「QAZANA(カザーナ)」が日本初出展。ライトウェイトスポーツとオフロードカーを融合させた新しいジャンルのコンパクトスポーツムーバーだ。
全長は約4m。大きく張り出したフェンダーとグラマラスな曲線が生み出すフォルムは、実際のサイズよりも大きく感じさせる。近くと思った以上にコンパクトな印象だ。丸みを帯びたボディーにもかかわらず、20インチの大径ホイールの採用でアグレッシブ感が演出されている。観音開きのドアを開けると赤い内装。インテリアデザインはバイクをイメージしたとのこと。
また、来年秋に市販予定の「FUGA HYBRID」や、一部仕様を変更して12月7日より発売する「GT-R」などが展示されていた。