見えてきた本格的なEUV適用時代
市場に投入する2010年のNXE:3100機のスループットは60WPH(wafers per hour)を予定しているが、これはメモリメーカーのHynix Semiconductorが2009年2月のSPIEにおいて、EUVは30WPH以上だとダブルパターニングよりもコスト的に有利と発表したからだ。ダブルパターニングはほぼ30WPHであり、30WPHのEUVなら置き換えるメリットはない。このため、最初の露光機から60WPHを予定する。さらに2012年にはNA=0.32の「NXE:3300」を市場へ出して行き、本格的なEUV時代へと突入する。
EUVリソグラフィ装置の市場投入へ向け、国内外40~50社と共同で開発しており、装置としてのインフラは着実に進歩している。例えばマスクの欠陥は指数関数的に減少しており、メモリではウェハ1枚当たり100個を割るようになった。ロジックのターゲットは1個/ウェハを目指すが、ロジックはメモリと違い冗長ビットがないため要求される欠陥/ウェハは厳しい。このためロジックの微細化はメモリよりも遅れてしまう。
EUV露光機としての完成度の高さは、外国企業や研究所などのグローバルな協力によるところが大きいと、同社シニア製品マネジャーのChristian Wagner氏は語る。顧客である半導体メーカーやIMEC、アルバニー大学プロジェクト、SEMATECHなど、みんなEUVを使った経験がある。欧州、米国などとのコラボレーションが大事だと同氏は言う。
現時点ですでに同社はEUV露光機を5台受注している。このNXEシリーズのEUV露光機プラットフォームのスループットは、2010年の60WPHから2014年には180WPHを予定している。
EUVが22nmプロセス以降に主流を占める時代になると、ArFからEUVに置き換わるからと言ってArFエンジニアが役に立たなくなるわけでは決してない。これまでArFレーザースキャナを開発してきたプロセス技術者やメカニカルエンジニア、ソフトウェアエンジニアなどがEUV装置開発にも当たる。また、特性評価技術は共通であるうえに、光学的イメージング技術はEUVにも応用できるとしている。
また、光源やOPCなどArF独特の波長よりも短い寸法を扱う技術に関しても、ここ5年くらいはEUVには必要ないが、その先にはいずれ同じような問題にぶつかるため、そのノウハウはその頃再び活用できることになる、とWagner氏は述べている。