いよいよ全容が見えてきた次世代リソグラフィ「EUV」
ムーアの法則が続く限り、半導体ICの微細化は続く。リソグラフィメーカーの売り上げトップであるASMLは22nmプロセス世代の本命と目されるEUV(Extreme Ultra Violet)リソグラフィにも力を入れているが、このほどそのベールを脱いだ。同社は、EUVが22nm以降のリソグラフィ技術に間に合うように装置システムの完成を急いでいる。その概要を紹介しよう。
現在主流のArFエキシマレーザー・リソグラフィ技術は、発振波長である193nmよりも短い45nmのパターンまでも液浸技術を使うなどによって加工できるようになった。しかし、32nm以下となると、光源波長の1/4よりも短くなり、1回の露光で加工することが難しくなってきた。そこで、ダブルパターニング技術が現実的な解となってくる。ダブルパターニングは、64nm幅でパターン加工したのち、そのちょうど真中にもう一度64nm幅のパターンを加工することにより、32nm幅のパターンを得ようという技術だ。
加工を2度ずらして繰り返すことで半分のピッチの線幅・線間隔を得るため、スループットがどうしても落ちてしまう。ダブルパターニングの泣き所はこのスループットである。リソグラフィを1回だけで、パターンの側壁をセルフアラインメントによって32nm幅のパターンを作るという方法をApplied Materialsや東京エレクトロン(TEL)が提案しているが、これもプロセスに時間がかかる。そこで、いっそのこともっと短い波長の光源を作ろう、というのがEUV技術である。光源の波長は13.5nmと、X線並みに短い。我が国でも産官学の共同研究組合であるEUVAがEUV光源の開発に力を入れているが、2007年度にNEDOの支援を終え、2008年度から光源の高出力・信頼性についての研究が始まっている。2010年度には初期の目標を達成するつもりだという。
半導体向け露光装置でシェア1位のオランダASMLのEUV装置は今どこまで進んでいるか。このほど、メディアを集めた「ASML Annual Technology Review」の中で、装置の完成を22nm時代に間に合うように急いでいることを明らかにした。ただし、最初は27nmのNAND型フラッシュメモリの生産から始めるようだ。同社は装置を開発する上で顧客や部品メーカーなどと3年間にわたり協力してきた。顧客や部品メーカーからのフィードバックが装置の完成度を上げている。