主な新機能
Ubuntu 9.10(開発コード"Karmic Koala")の新機能を紹介していこう。デスクトップ版Ubuntu 9.10 Betaに収録されている主要なアプリケーションおよびバージョンを以下に示す。正式版ではマイナーバージョンがアップされている可能性が高いが、それほどの違いはないと予想される。
- Linux Kernel 2.6.31
- GRUB 1.97
- GNOME 2.28
- Firefox 3.5.3
- OpenOffice.org 3.1.1
- F-Spot 0.6.1.3
- Rhythmbox 0.12.5
- i-bus 1.2.0
- Synaptic 0.62.5
Linuxカーネルとして2.6.31が使われているが、2.6.31ではUSB 3.0への対応やCUSEを搭載している。CUSEはユーザー空間でキャラクタデバイスを実行するためのカーネルモジュール。ほかにもメモリ管理の改善やファイルシステムやCPUの最適化が行われていることでUbuntu自体の体感速度が向上している。
起動の高速化に関してはLinuxカーネルでの改良のほか、ブートシステムに使われているinitのかわりにUpstartが使われるようになった。Upstartが使われることでさらに起動時間の短縮が実現されている。
GNOMEに関してはUbuntuはGNOMEのリリース次期に合わせている。今回のベータ版で9月末にリリースしたばかりの2.28が収録された。GNOME 2.28になったことでIMをPidginからGNOMEの標準IMであるTelepathyに変更され、GDMも大幅に改良された。
また、Ubuntu 9.10よりUbuntu Oneを標準サポートする。Ubuntu Oneは、スポンサーであるCanonicalが5月に始めたUbuntu専用のオンラインストレージ。Ubuntu Oneに登録することでUbuntuユーザー間でファイル共有を行うことができるようになる。Ubuntuはクラウドコンピューティングにより力を入れることを発表しており、このUbuntu Oneのそのひとつといえる。
なお、Ubuntuによるクラウドコンピューティングへの対応はサーバ版でも行われており、サーバ版のベータではUEC(Ubuntu Enterprise Cloud)やAmazon's EC2などツールをサポートしている。
ほかにもUbuntu 9.04でext4のサポートが行われたが、Ubuntu 9.10からはext4が標準となった。また、GRUBがGRUB LegacyからGRUB 2に変わっている。
その他の変更点とアピアランス
その他にも改善されている部分が多々ある。デスクトップ版のみだが、それらも簡単に紹介していきたい。
これまで日本語入力環境としてSCIMが使われてきたが、Ubuntu 9.10よりiBusというIMフレームワークに変更されている。iBusはFedoraでも採用されており、UbuntuがiBusを採用したことで他のLinuxディストリビューションも今後の日本語入力環境周りに変化が起こるかもしれない。
Ubuntu 9.10から日本語環境がiBusに変更された |
アプリケーションのインストールやアップデートは基本的にSynapticで行う。ただ、これまではGNOMEのアプリケーションインストーラであるAdd/Remove(gnome-appinstall)でも行うことはできた。これがUbuntu 9.10からは「Ubuntu Sofware Center」と呼ばれるアプリケーションインストーラに切り替えられた。Ubuntu Software Centerは、Ubuntu用に開発されているパッケージ管理ツール。今回搭載されたバージョンはAdd/Removeアプリケーションの理念をベースにさらに簡易に使えるように開発されている。また、今後開発を推し進めることで現在使用しているSynapticやgdebi、Computer Janitorなどのパッケージ管理ツールからの置き換えを予定している。
以下、Ubuntu 9.10の動作画面を紹介しておく。今回もスプラッシュや背景が変わっており、きれいなグラフィックが提供されている。