日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は14日、個人向けPCの2009年冬モデルとして、ノート7機種、デスクトップ6機種の発表会を開催した。
会場ステージではまず、「対談~hp×Windows7で描くこれからのデジタルライフ」と題し、日本HP 代表取締役 社長執行役員 小出伸一氏とマイクロソフト 代表取締役 社長 樋口泰行氏による対談が行われた。
今回の新製品について小出氏は、Windows 7完全対応ラインアップであるとともに、Windows 7が備える魅力を引き出した自信作だとし、新しい世界を切り開く製品になると説明した。
HPとマイクロソフトのパートナーシップについて、小出氏はグローバルでも開発からマーケティングまで包括的なパートナーシップを締結していることを説明。スピード感を高めて製品を提供するためには不可欠となっている。具体的にはタッチ対応PCを2007年に登場させたが、これもパートナーシップの成果のひとつであるとした。
樋口氏は、OSの検証に使っているPCはHPのものであることを明らかにし、実験段階から使い、さまざまな開発にも役立っていることを説明。エンタープライズからコンシューマまでHPとマイクロソフトは協力しているとした。
続いてWindows 7の話に移行。Windows 7が経済に与える影響については、樋口氏はIT業界全体としても業界を活性化できるものとして期待できるOSで、PCメーカーだけでなく、周辺機器メーカー、ソフトウェアメーカーすべてに影響を及ぶとした。第三者機関の調査の結果から、波及効果は2兆3000億円に及ぶ試算があることを説明。このようにIT業界の活性化に貢献したいとした。
ここから新製品について説明した。小出氏は今回の新製品でデザインを追求したことを説明。Computer is Personal Againをテーマに、持っていてワクワクするような製品を目指したとのことだ。ファッショナブルPCとしてデザイナーがデザインしたものを提供するなど、デザイン性の高いものも提供している。これまでの事務機器の延長線であり効率性を追求するPCから、今回の新製品をはじめ今後は、個人の感性を刺激し、楽しんでワクワクして使ってもらえるようなPCへとシフトさせたいとした。これには、Windows 7の機能を生かし切ることが重要で、それにより創造性があるクリエイティブな領域へとPCが新たなステージへ進化できるとした。
続いて、Windows 7の特徴について樋口氏が説明。あらゆる工業製品がそうであるように、技術的な黎明期ではシーズ主導での新しい製品の開発で、ユーザーに付加価値を感じてもらうような製品を作り上げてきた。これが進んでくると、ユーザーのニーズを製品に反映するようになる段階になるとした。OSでもそれがあてはまる。Windows 7では、コーディングを開始する半年前からビジョンをしっかり持つことから開始。ユーザーが強く求めている、高速で軽量、安定するOSを目指して開発を進めてきたとした。それだけでなく、こういうものがあったら便利という機能を、次々に投入してきている。互換性に関しても、Windows Vistaとの互換性を高めただけでなく、Windows XPについてはエミュレーションを用意。早い段階からISVなどに情報を開示したことで、パフォーマンスもチューニングしていった。
HPとWindows 7がもたらす新たな生活について、小出氏は、いままではメールやワードなど考えながら作業をすることが多かったが、Windows 7により感じることが多くなると説明。特に、日本人ではマウスやキーボードに対する苦手意識が高いユーザーが多いが、Windows 7のマルチタッチが直感的な操作をもたらし、新しい世界が広がることで、PCを利用する年齢層も広がるとした。さらにWindows 7により新しいPCが生まれ、ライフスタイルを大きく変え、さらに新しいライフスタイルに新しいPCが溶け込んでいくことになるとした。
樋口氏も、Windows 7から、これまでの流れとは違う一歩を進み始めたとした。日本では、PCが難しいとしていたシニアユーザーも多かった。これがタッチにより、OSやブラウザ、アプリケーションの操作が簡単になり、ユーザーとマシンがより近くなるとした。マイクロソフトでは、自然なインタフェースの研究を進めていて、サーフィスやモーションセンシングなどのテクノロジーが今後登場してくる。今回のタッチはPCがもっと洗練される入り口であるとした。
さらに小出氏は身近なPCライフを紹介。たとえばバンドをしていて作曲するときにPCを使うことで、バンド仲間と曲のデータを共有できる。このような、従来の事務機の延長線上ではない新しい使い方が生まれてきているとした。まさにPCが、コミュニケーションツールからクリエイティブにコラボレーションするためのツールへと進化してきている。Windows 7が広まることで、新しいライフスタイルが広がっていくとした。HPでは、日本で投入している製品はワールドワイドの製品の一部でしかない。日本のニーズを正確に捉え、タイムリーに製品を投入してきたいとした。
樋口氏は、クラウドと連携によって新しい世界が広がると説明。クライアントとクラウドの連携、モバイルとクラウドを介してのPCとの連携など、このような連携によりどういう付加価値が生まれるか、ユーザーにその付加価値をどう提供できるかが重要になっている。マイクロソフトではPC、モバイル、テレビの連携が始まるとし、これをどのようにユーザーに提供できるかが重要だとした。
今後どのような世界が広がってくのかについては、小出氏は使いながら考えるという従来の世界から、感じながら使う世界へと変わっていくと説明。PCに人が合わせて使うことから、人のライフスタイルに合わせPCが変化していく。PCという言葉がふさわしいかどうかが議論されるような世界なることを、Windows 7の登場が期待させてくれるとした。
樋口氏は、音声認識や人工知能といった認識についてのデバイスの発展、クラウドとの連携により従来では考えられなかった世界が描けるようになる。デバイスサイドとクラウドサイドで、どんどん発展していくことで、新しい世界が広がるとした。
これに対して、小出氏はIT業界ではクラウドとグリーンITが話題だが、人と人との接点にPCがあり、PCにわくわく感があり、楽しいと感じてもらえるようになれば、PC業界も発展できるとした。