映画『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』(太宰治原作、根岸吉太郎監督)の初日舞台挨拶が、10日、東京・有楽町で行われ、松たか子、浅野忠信、広末涼子、妻夫木聡、堤真一ら豪華キャストが一堂に会した。
撮影を振り返り、「忘れられない場面の連続でした。とくにラストシーンは、撮るのに時間がかかったものの、現場がひとつになるのを感じられて印象的でした」と話した松だが、MCの軽部真一アナ(フジテレビ)に「(松が演じる)佐知の生き方についてどう思われますか?」と聞かれると、「とくにおすすめはしないです(笑)」と本音が。「彼女は彼女なりに幸せだったと思いますが、(佐知と)同じように生きようとしたら嫌な思いをするかもしれないし、自分なりの幸せを探してほしいので、彼女の生き方を押しつける気はさらさらないです」と強調し、観客の笑いを誘った。
小説家の妻・佐知を演じた松。「共演者やスタッフとともに、楽しくお芝居することができ、私にとって大きな財産になりました」 |
小説家・大谷を演じた浅野。「彼はいつも危険なほうを選択するんですよ。男として、そういう生き方もしてみたいと思うけど…」 |
佐知に思いを寄せる青年・岡田役の妻夫木。「岡田はピュアな青年なので、自分としては子犬のようなイメージで演じました(笑)」 |
大谷の愛人・秋子を演じた広末。「撮影前に『君の役は発声から違う』と監督に言われ、プレッシャーで初日にお腹を壊したほど」 |
原作にない役を演じた堤。「大谷以上に淀んだ男で、演じててあまり嬉しくなかった。…もちろん撮影は楽しかったですよ!(笑)」 |
室井滋は、佐知が働く椿屋の女将役。「撮影中はずっと椿屋のセットにいて、本当に店を営業しているんじゃないかと思われるほど」 |
椿屋の主人を演じた伊武雅刀。「根岸監督の作品は二十数年ぶり2回目。カナダで賞獲ったと聞いて、本当に嬉しかったですね~」 |
本作でモントリオール世界映画祭の最優秀監督賞を獲得した根岸吉太郎監督。トロフィーを前に挨拶した |
一方、小説家・大谷(浅野)の愛人を演じた広末からは、「(役作りでかけた)あの丸眼鏡が色っぽいというのが、全然理解できなくて……」との発言が。「現場では『色っぽい』との評判だった?」と聞く軽部に、広末が「堤さんがそう仰ってて」と答え、名指しされた堤は苦笑い。「役の雰囲気を引き出してるなと思っただけで、深い意味はなかったんですよ」と言い訳したものの、軽部から「日頃から、女性に丸眼鏡をかけさせているわけではない?」とダメ押しされてしまい、「そういう趣味ではないです(笑)。あくまで役としての話ですから」と苦笑しながら答えた。
舞台挨拶では、今年が太宰治の生誕100年であることにちなみ、出演者らが太宰への思いを語る場面も。根岸監督は「(太宰の)お墓に行ったら、『俺をダシに賞獲りやがって!』という声が聞こえた気がしたので、『すみませんでした』と謝りたい」と述べ、浅野からは「生きている間にまだまだ表現したいことがあったかもしれないけど、亡くなられた後も『こうやってみては?』と導いて下さっているような気がします」とのコメントが。そんな中、松は「亡くなった後もお騒がせしてすみません。でも私たちなりに敬意を表した作品なので、よかったら覗いてみて下さい」と天国の太宰にメッセージを送っていた。
最後はトロフィーを囲んでのフォトセッション。ちなみに舞台挨拶の後、軽部が「報道陣の皆さんは、この後『カイジ』の舞台挨拶に向かいます。…フジテレビの映画ではありません」と発言し、観客から笑いが起きていた |
『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』は全国東宝系でロードショー中。