新型インフル対策としてすっかり定着してきた感のある手洗い習慣。ところがこの手洗いのしすぎなどが原因で皮膚科に駆け込む"手荒れ患者"が増えているという。特にこれから冬にかけては空気が乾燥し、そうでなくても手荒れしやすい季節。この機会に正しい手洗い法をぜひ知っておこう。
「夏の手荒れは主婦や美容師など、環境要因から悩む人ばかりでしたが、今年は昨年にはほとんど見られなかったような人たちが手荒れに悩み来院しています」と話すのは横浜市にある野村皮膚科医院・野村有子院長。保育園や幼稚園に通う子どもが1日に何度も手洗いをすることで手荒れをしている例が多いとか。また、大人でもインフルエンザ対策としてオフィスに置いてあるアルコールで手荒れすることもあるそうで注意が必要だ。
とはいえ手洗いは厚生省も提唱する有効なインフルエンザ自衛策。そこで手荒れを防ぐ正しい手洗い法を野村院長に聞いてみた。まず手洗いに使う水の温度は、高温ではなくぬるま湯。「高温だと皮脂を奪いすぎ乾燥を招く。こすりすぎもよくない」(野村院長)とのことだ。また、手洗い後の水気をとるならハンカチよりも吸水性の高いハンドタオル。ショッピングセンターなどによくあるハンドドライヤーについては「指先を乾燥させ過ぎる傾向があるので、長い時間かけるのは避けた方がいい」(野村院長)と意外な答えが返ってきた。髪や服で手を拭くのは当然ながらやめよう。
正しい手洗いをした上で、手荒れ対策として取り入れたいのがハンドクリームによる保湿だ。最近では、インフルエンザ対策コーナーにハンドクリームも置くドラッグストアやホームセンターも増えてきた。
「手を洗うことは大切なことですが、手洗い回数が増えたことで手荒れを起こしやすくなるケースもあるようです。昼間にハンドクリームをなかなか塗れない、という場合は就寝前だけでも塗っていただくことを勧めています」と話すのは医薬品、医薬部外品などの製造・販売を行っているユースキン製薬の担当者だ。ハンドクリームといっても種類は多いが、ユースキン製薬 広報担当 高嶋氏によると、手荒れ予防対策には「ユースキンA」などのビタミン系ハンドクリームがオススメとのこと。血行を改善し、保湿力を高める効果などがあるそうだ。こうしたハンドクリームを水回りに常備したり、チューブタイプのものを持ち歩いたりして、ハンドクリームケアもぜひ習慣化させたい。
インフルエンザにならなかった代わりに"手荒れ"に悩まされた……。そんな事態にならないよう、今こそ正しい手洗いとハンドクリームケアを始めてみては?