9月30日、ディーバとアクセンチュアは「国際会計基準(IFRS)合同セミナー」を開催した。国際会計基準対応部門の責任者及び社内プロジェクトリーダーを対象としたセミナーには、多くの参加者が集まった。

有限責任監査法人トーマツのIFRSアドバイザリーグループリーダー 経営会議メンバー パートナー 手塚正彦氏

監査法人トーマツのIFRSアドバイザリーグループリーダー 経営会議メンバー パートナーの手塚正彦氏は「国際会計基準導入が企業グループ経営に与えるインパクト」と題した基調講演を行った。

先進国の大半がIFRSの適用を要求または容認する中、日本でも6月に金融庁から「我が国における国際会計基準の取り扱いについて(中間報告)」が公表され、一定の上場企業に対してIFRSの任意適用が認められるのは2010年の3月期からだと確定した。

2012年には強制適用についての決定が行われ、その結果によっては2015年3月期から上場企業を対象に強制適用が行われる可能性がある。 「2010年3月期に実際に対応する企業はあるのかという質問をよく受けるが、実際にはわからない。現実にはすでにIFRSでレポートを作成し、監査を受けている企業があるため、その企業が第1例の有力候補だろう」と手塚氏は語った。

実際に企業と関わる中で感じられる流れについて、手塚氏は経団連とCFO協会が行ったアンケートを例にとって解説。「アンケートが実施されたのが、経団連が3月、CFO協会が4月下旬から5月中旬にかけて。内部統制報告で3月決算の上場企業が非常に忙しい中での結果。もし今実施すれば、任意適用考慮や検討開始の企業が格段に増えるだろうと実感している」と語った。

また、早い段階での適用を目指さず、現在は導入プロジェクト着手の検討や情報収集を行っている段階の企業が多い理由として、制度の詳細が明らかでないことや、IFRSを早期導入することのメリットが不明であること、予算確保が難しい事業状況であることなどが挙げられた。

日本企業のIFRSに対する取り組みに関するアンケート

日本企業の取り組みの現状

取り組みを進めるにあたっては、IFRSの特徴をしっかりと捉えることが重要になる。「導入は決定されたことで、実施するのは確定事項。しかし納得してやれるかどうかには違いがある」と語る手塚氏は、「英語の世界だと思っている人が多いが、実際にはASBJが日本語でテーマごとの論点整理を素早く出すようになってきている。

今後はディスカッションペーパー等も今までよりスピードアップして日本語訳が出てくるだろう。考えているより早く日本語化され、勉強がしやすくなってきているので、ぜひ抵抗感を弱めて欲しい」とも言い、企業担当者の積極的な取り組みを促した。