「低炭素社会"発見"in千代田」および「都市型コミュニティサイクル社会実験」開始を告げるイベントが10月1日、東京都千代田区の丸の内オアゾ「○○(おお)広場」にて開催された。特に、パリなどヨーロッパで実施されている無人貸出し自転車が、日本に導入されるのは今回が初めてとあって、注目を集めそうだ。

環境省、千代田区などが一体となって推進

鳩山首相の国連演説にも触れ、環境問題への取り組みを改めて強調した田島環境副大臣

イベ ントを主催する「低炭素社会"発見"実行委員会in千代田」は、環境省のチーム・マイナス6%、千代田区、大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会などが一丸となった組織。この日のイベントでは、まず田島一成環境副大臣、石川雅己千代田区長らが挨拶し、環境問題への具体的な取り組みを訴えた。

来賓として、メルビン駐日デンマーク大使が挨拶し、現在、コペンハーゲンの住民の36%が自転車通勤・通学をしており、2015年にはこの数値を50%にすることを目標としていると話した。ゲストとして、レーシングドライバーで登山家としても知られる片山右京氏が、環境問題解決へ向けてひとりひとりが取り組めることのひとつに自転車があると語り、その一方で、路上整備など自転車が走る環境そのものも改善すべきだと主張した。

田島副大臣とメルビン大使は、イベントを記念して自転車の交換を行った。大使は渋谷区猿楽町の大使館から自転車でやって来た

毎日3時間は自転車に乗るという片山右京氏。愛車と一緒に舞台の上に立った

ICカードを持って実際の使い方を体験する田島副大臣。右側で説明するのは、JTB首都圏の野口英明社長

事前登録すれば自由に利用可能な自転車

都市型コミュニティサイクル社会実験が行われるのは、大手町 / 丸の内 / 有楽町エリア。期間は10月1日から11月30日まで。環境省からの委託により、JTB首都圏が主体となって実施される。

丸の内ビル沿いにあるエコポート。ここには15台の自転車が用意されている

利用申し込み受付、および問い合わせ先は、JTB丸の内支店とJTBトラベルゲート有楽町の2カ所。詳細はコミュニティサイクル利用案内を参照していただきたいが、初回登録料1,000円を支払って、ICカードを入手するシステムとなっている。利用料金は最初の30分は無料。30分以降10分ごとに100円、3時間以降は5分ごとに100円がかかる。申し込み時には、本人名義のクレジットカードが必要となる。なお、法人会員制度もあり、近辺の法人にとっても、さまざまな活用方法が考えられそうだ。

自転車はシンプルなデザインで、サドルの調節も簡単にできるようになっている

ICカードをかざすと、ロックがはずれて自転車を引き出すことができる

丸の内ビルや有楽町電気ビルなど、エリア内には5カ所のエコポート(自転車駐輪場)が設置されていて、コミュニティサイクルはここでレンタル、返却をする。自転車の総数は85台。今回の実験によって、実際にどのように自転車が移動されるのか、台数は充分なのかなどの課題が浮かび上がってくるだろう。

イベントの後、体験ツアーに参加した小学生たちが、実際にエコポートで自転車に試乗することに

子どもたちを見まりながら言葉を交わす田島副大臣、メルビン大使と片山氏

片山氏が子供たちの先頭となって、いよいよ出発することに。マスコミ関係者の多さがこのイベントの注目度を物語っている

さまざまな課題への第一歩として

コミュニティサイクルは、CO2排出量を減らすことが大きな目的ではあるが、同時に、放置自転車問題、自転車が安全に走行できる道路環境整備など、日本特有の課題への対応も視野に入れている。

もちろん、健康によいという面からも自転車は流行していて、インターネットで「自転車通勤」と検索するだけで、数多くのサイトが並ぶ。実際に自転車で通勤する人もかなり増えてきており、コミュニティサイクルはさらに自転車人気に拍車をかけることになりそうだ。

片山氏、子どもたちに続いて、メルビン大使らもコミュニティサイクルを体験した

また観光の視点からも、コミュニティサイクルは重要な役割を果たすものと期待されている。コミュニティサイクルが利用できる地域への客の誘致、地域の店舗との提携など、都市型観光モデルの構築は、今後促進されるものと考えられる。

なお、「低炭素社会"発見"in千代田」の一環としてのイベントやスポットも興味深いものがそろっている。「低炭素社会"発見"エコまちマップin千代田」という冊子が、千代田区内各所で配布されているので、これを片手に区内を巡れば新たな発見があるはずだ。

その他、これまでもレンタルサイクルを行ってきた施設は各地に点在している。最後に、自転車関連の情報を取りまとめたサイトとともに最後に紹介しておくことにしたい。