--とくに、日本のユーザーに対する提案はありますか。

「Adobe Scene7の使い方に国民性はあまり関係ないように思う」(ダルグレン氏)

日本のユーザーは、ハイクオリティな映像に高い関心を持っていますが、これは欧米のユーザーも同じです。高解像度の画像を取り扱えるということは、画面いっぱいに鮮明な画像を使うことにもつながり、よりインパクトの高いサイトを作ることができる。アパレルであれば、実際に誰かが服を着ている形で提案した方が売れる。また、鮮明な色を見せることが売れることにつながる。また、どういう状況で利用するのかといったシチュエーションを提案することも必要です。家具などは、どのぐらいのサイズなのかを、その家具が置かれたシーンを見せながら提案することもできます。日本人にピンとくるような画像を、自由に活用するといったように、ターゲットにあわせて、リッチなメディアコンテンツを活用した提案が行える環境が整ったといえるのではないでしょうか。

日本でのAdobe Scene7の展開を開始するのにあわせて、日本のパートナーやユーザーを対象にしたイベントを開催しました。こうしたAdobe Scene7のメリットを訴求するイベントやセミナーは随時開催したいと考えています。また、イベントやセミナーに参加できない人のためには、Webを使ったセミナーを定期的に提供するといった仕組みも用意しています。日本にも専任のセールス担当者を配置していますから、気軽に問い合わせていただきたいと考えています。また、電話やメールでのカスタマーサポート体制も整えています。こうした日本のユーザーにフォーカスした取り組みはますます充実させていきたい。

--Adobe Scene7のトライアル版を用意するという話ですが、いまのところは英語版だけですね。ぜひ日本語版も用意していただきたいのですが。

はい、用意します。日本語版のほかにも、ドイツ語、フランス語は早急に用意しなくてはならないですね。日本語版は、今後6カ月以内には提供する予定です。

「Creative Suiteなど、Adobeがコンシューマ市場で培ってきたリッチメディアの技術が、BtoBソリューションであるScene7に生かされた」(ダルグレン氏)

--Adobe Scene7は、どれぐらいの完成度だといえますか。

10点満点だとすれば、9.75といったところでしょうか(笑)。顧客満足度調査をしても高いですし、新たなバージョンに移行するユーザーも多いですから、その点では高い評価ができる。そして、新たな手法として、SaaS方式での提供も行っています。ダウンタイムが許されないような環境でも稼働させることができるように、データセンターのインフラを拡張し、実際に使用される容量よりも、かなり余剰な形で設備を強化しています。AdobeがSceneのプロダクトを買収したのは約2年前のことですが、これがひとつになったことで、デザインのエクスペリエンスは大幅に向上した。そして、Adobe Creative Suiteとの統合によって、さらに効果はあがります。あらゆる形態のファイルをAdobe Scene7に対してパブリッシングし、ダイナミックに、さまざまなシーンで活用できるようになるなど、デザインにおける使い勝手の良さとワークフローの効率性を高めています。Adobeの既存製品と、Scene7の組み合わせは、リッチメディアを活用するという点で最強のものになります。

--ちなみに、減点部分はなんですか。

私たちは完璧主義なんですよ(笑)。常に改善の余地はどこかにあると考えています。むしろ、10点満点といったら、「それは嘘でしょう」と言われてしまいますよ(笑)。減点部分をあえてあげるとすれば、提供できていない機能がまだあるという点ですね。製品のプランニングは、2、3年先を見越して行っていますから、すでに次のステップを見た改善にも取り組み始めています。それと、さらにスピードを高め、ほかの多くの国にも、Adobe Scene7が提供する価値を広めていきたい。

日本においては、もちろん、販売の目標はありますが、リーディングサイトと呼ばれるところに、Adobe Scene7が数多く活用され、それらのユーザーが満足していると回答してもらえることが目標ですね。そして、自分たちの経験について語ってくれるユーザー企業が数多く出てくることも大切な要素だと考えています。まずは、それに向けて、多くの人に、Adobe Scene7に触れていただきたいと思っています。