ケイ・オプティコムは29日、独自の公衆無線LANサービスと3G(第3世代携帯)サービスからなるモバイルブロードバンドサービス『eoモバイル』を2010年3月から提供開始すると発表した。同社代表取締役社長の藤野隆雄氏は「当社事業の新たな柱として展開したい」と述べた。
ケイ・オプティコムは関西電力の100%子会社で、関西エリアで、FTTHサービス「eo光」などを展開。eo光では、ネットサービス「eo光ネット」、IP電話サービス「eo光電話」、CATVサービス「eo光テレビ」のトリプルプレイサービスを提供、約92万の契約者数を持っている。
今回同社では、携帯ゲーム機や携帯音楽プレイヤー、スマートフォン、ネットブックなど、屋外でのモバイル端末利用が増えていることに対応し、モバイルブロードバンドサービス「eoモバイル」を、2010年3月から提供開始することを発表した。
eoモバイルは、公衆無線LANサービスと3Gサービスからなる。公衆無線LANサービスでは、サービス開始時には2,000箇所にアクセスポイントを設置。サービス開始1年後には1万箇所、3年後には約3万箇所のアクセスポイントを設置し、駅・コンビニ・ファミリーレストランなど、「関西一円のユーザーの生活動線上に展開する」(ケイ・オプティコム)としている。
駅などの一部エリアにおいては、次世代無線LAN標準規格である最大300Mbpsの「IEE802.11n」を採用するほか、高セキュリティ暗号化方式「WPA2/AES」とユーザー認証(IEEE802.1X)によるセキュリティ環境を提供することで、「屋外でも宅内と遜色のない高速・快適・安心のネット環境を極めて低廉な料金で実現する」(同社)としている。
また、3Gサービスでは、イーモバイルの回線を利用したMVNOとして、従来からの最大7.2Mbpsのサービスに加え、新たに最大21Mbpsのサービスをラインアップし、公衆無線LANエリア外におけるモバイルブロードバンド利用ニーズに応える。
さらに、eoモバイルの利便性向上のため、各モバイルサービスをシームレスに接続できる独自開発のソフトウェア「簡単接続ツール」を無償で提供。これにより、宅内では、eo光ネットや宅内無線LAN、屋外のアクセスポイントでは公衆無線LANサービス、また、公衆無線LANエリア外や移動時には3Gサービスというように自動でネットワークの選択・接続・切替を行うことが可能となり、「ユーザーが意識することなく、利用シーンに応じた最適なブロードバンドサービスをシームレスに利用することができる」(同)。
29日に東京都港区のホテルで開かれた記者会見では、社長の藤野氏が、2009年6月の就任以来初めて記者団の前であいさつ。就任前に関西電力の常務を務めていたと述べた上で、「関西電力のグループ会社で最大規模の会社であるケイ・オプティコムの社長に就任し、身の引き締まる思いだ」と意欲を示した。
eoモバイルについては、「『eoモバイル』を、『eo光』と並ぶ新たな柱として展開したい」と述べた上で、「今後はWiMAXやLTEといった次世代のモバイルブロードバンドサービスにも対応を図っていきたい」と話した。
また、「法人向けにもサービスを展開し、さまざまな事業者と連携しBtoBサービスの事業化を進めていきたい」と述べた上で、「モバイルブロードバンド以外でも市場の変化を敏感にとらえ、新たなサービスを展開していきたい」と今後の展開について述べた。
同社では、コンシューマー向けサービスと並行して、eoモバイルの法人向けサービスとして、デジタルサイネージへの広告配信プラットフォームや、学校・商店などへのタウンセキュリティサービスを展開するとしており、来春以降の展開が注目される。